防衛省が鹿児島県さつま町で整備を検討している弾薬庫(火薬庫)を巡り、九州防衛局の担当者らが22日、町役場を訪れ、2024年度から予定する適地調査を中岳周辺(同町永野、中津川)で実施する方針を上野俊市町長や町議会に伝えた。調査は2年間の見込み。上野町長は「防衛省には随時丁寧な説明を求め、協力できることはしていきたい」と語った。
防衛省や町によると、中岳は標高654メートルで、町東部に位置する。調査範囲は全て国有林。
一帯は整備に必要な施設面積や保安距離を確保できる可能性がある、北薩横断道路のインターチェンジが近くアクセスが良好、陸上自衛隊国分駐屯地をはじめ自衛隊施設が近く部隊運用上の利便性が高いことなどを選定理由に挙げた。
同省は施設について大規模なものではないとしている。隊員数は未定だが、他地域の弾薬庫のある施設の定員は60人程度と説明。保管する弾薬の種類は公表できないとした。
同省は24年度当初予算案に2年分の調査費として10億円を計上。周辺地形を把握するための測量、地盤強度を調べるボーリング、動植物の生育状況や大気質を確認する環境調査などを見込んでいる。調査期間中でも整備が可能と確認できれば、設計や工事を実施する見通しも明らかにした。
説明に訪れた九州防衛局の遠藤敦志企画部長は「町と協力して丁寧な説明を進めていきたい」と話した。同日は県庁で危機管理課にも説明、同課は丁寧な情報提供を求めた。
町や町防衛施設誘致推進協議会は18年から防衛省に自衛隊誘致の要望活動を実施。中岳周辺も候補地として、同省に提案した経緯がある。上野町長は「防衛省側の協力も求め、早期に地元説明会を開きたい」と話した。