海洋研究船「みらい」運用終了/旧原子力船「むつ」 25年度、老朽化で

2025年度での運用終了が決まった海洋地球研究船「みらい」=15年2月、むつ市関根浜港

 国内初の原子力船「むつ」を改造した海洋地球研究船「みらい」について、海洋研究開発機構(本部・神奈川県横須賀市)は22日、2025年度で運用を終えると発表した。老朽化のため。運用終了後の扱いは決まっておらず「引き取り手があるかも含め、これからの検討になる」(同機構)という。

 「みらい」は、「むつ」から原子炉を撤去し、再利用しない部分を解体するなどして、研究船として1997年に就航した。優れた耐氷性・航行性を持ち、長期にわたる観測研究が可能で、北極海や太平洋などの海洋調査を行ってきた。

 むつ市の関根浜港を母港としてきた。

 ただ砕氷能力が低く、航行期間・場所が限られていた。このため、同機構は新たな北極域研究船の建造を進めていた。

 新研究船は全長128メートル・幅23メートル、総トン数1万3000トン、97人乗りで船名は「みらいⅡ(ツー)」に決定した。2026年秋ごろの完工を目指している。

 むつ市やむつ市議会は関根浜港を新研究船の母港にするよう要望してきた。同機構報道室は取材に対し、母港の設定について「そうした要望を含めて検討している」と話した。

 「むつ」は1969年に進水。74年に洋上で初臨界を達成したが下北半島尻屋沖で放射線漏れ事故を起こした。この後、母港を関根浜港に移し、原子動力による洋上実験航海などを行った。

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