弘南鉄道(青森県平川市)、JR東が技術支援/費用支援、沿線自治体に要請へ

改善報告について説明する船越常務(中)ら

 弘南鉄道(本社・青森県平川市)は22日、昨年8月の脱線事故などを受けて国土交通省東北運輸局から出されていた改善指示に対する改善報告を同局に提出した。3月中にJR東日本と技術支援協定を結び、同社による指導などを通じて保守管理体制の改善や再発防止に努める。改善策に必要な費用を3月中にまとめ、沿線自治体に支援を求める方針だ。

 東北運輸局は1月23日に出した改善指示で、年1回の定期検査でのレール摩耗検査を専ら目視のみで行っていた点などを指摘。7項目について改善を求めていた。

 改善報告では、技術支援協定に基づき、JR東の技術研修に現場係員を参加させたり、保守管理の指導を受けたりする。JR東の職員に、弘南鉄道の各種検査に立ち会ってもらうことも検討している。現在、支援内容や費用面で交渉中だ。

 技術支援を基に、現場係員に対しては指導教育を毎年行い、安全意識や技術・知見を身に付けてもらう。測定機器の取り扱いも年1回以上訓練し、誰が検査しても同じ結果が出るようにする。管理職や現場管理者らも、JR東など外部組織の講習を受ける。

 レール摩耗検査を目視で行うなどの点検方法省略や、安全基準超過の見落としがないよう、検査記録の記載手順も改善した。

 安全基準に合わないプラットホームは来年度中に改修する。昨年12月に不在だった工務区長(現場管理者)は今年1月から技術課長が兼務し、将来的に専任者を置く方針だ。

 弘南鉄道は22日、平川市の本社で会見を開き、改めて陳謝。船越信哉常務は今回の問題の一因とされる人員不足に関し、保線や電気系統、車両管理に2人ずつ計6人の求人を出しているものの応募がない状態と説明。「人材派遣や(鉄道技術者)OB採用も含めて考える必要がある」と述べた。

 改善報告を受けた東北運輸局の担当者は取材に「報告は今後精査する。予定段階の対策も速やかに行ってほしい。公共交通機関として、安全確保にしっかり取り組んでほしい」と答えた。

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