島原半島を自転車の聖地に 国の「サイクルルート」指定目指す 長崎

サイクルツーリズムフォーラムin島原半島で、「自転車の聖地になる可能性がある」と島原半島の取り組みを評価した髙橋氏(左)=島原市城内1丁目、市文化会館

 サイクリング客の誘致で地域活性化を図ろうと、島原半島観光連盟(相川武利会長)は、日本を代表するサイクリングルートと国が認める「ナショナルサイクルルート(NCR)」の島原半島1周ルートの指定を目指している。九州にNCRはまだないが、指定を受けると国内外に観光情報が発信されるほか、自治体への社会資本整備総合交付金が、重点的に受けやすくなる。
 同観光連盟は指定に向け2022年度から島原半島サイクリングルートの作製に着手。愛称を「イコモン(島原弁で『行こうよ』の意)」と名付け「島原半島1周(106キロ)」など2コースのマップを作製した。年度内に半島内3市推奨3コースも加える予定。
 1周コースに含まれる島原鉄道旧南線跡の自転車歩行者専用道路化については南島原市が旧加津佐駅-水無川右岸(約32キロ)、島原市は水無川左岸-旧秩父が浦駅(約2キロ)の整備を目指す。
 国土交通省「NCR審査委員会」の委員を務める髙橋幸博氏(54)=アーチ・ヒーロー北海道社長=は、同観光連盟が島原市で6日開いたフォーラムで講演。「専用道路は時には橋を渡り、駅の跡も残るなど、おもしろい景色がたくさんあった。車も走らないので、ブランドになるだろう」と島原半島を評価した。
 その上で、10年度からルート造成が始まり、19年度にNCR指定を受けたしまなみ海道を例に「指定までは5~10年かかる」と指摘した。
 髙橋氏はNCR指定に向けては行政が道路環境などのハード面を整備する一方、民間では港や駅の管理事業者と協議会をつくるなどして機運醸成を図ることが大切だと強調。「島原半島の取り組みはまだ始まったばかり。この1、2年の(組織や市域を超えた)情報共有が大切」と強調した。
 同観光連盟の荒木信一事務局長は「島原半島のルートは、平成新山の雄大な火山景観も魅力。半島3市の市民を巻き込んだイベントを開催していきたい」と話した。

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