氷都・八戸 雰囲気随所に アイスホッケー漫画「ドッグスレッド」 競技関係者ら「励みに」

19日に発売された「ドッグスレッド」単行本第2巻の表紙©野田サトル/集英社
八戸市内の地名「鮫」が学校名に入った「八戸鮫王高校」が登場する場面©野田サトル/集英社
八戸の地名や風景が登場する一場面©野田サトル/集英社

 週刊ヤングジャンプ(集英社)で昨年7月から連載している野田サトルさんのアイスホッケー漫画「ドッグスレッド」が、青森県八戸市のアイスホッケー関係者の間や交流サイト(SNS)などで話題を呼んでいる。今月19日に発売された単行本第2巻には市内の地名や風景、方言で話す選手など、氷都・八戸の雰囲気が色濃く感じられる場面が数多く登場。野田さんは東奥日報社に「第2巻以降もホッケーファンならニヤリとするネタを入れていく。ファンでなくても楽しめます」とコメントを寄せた。

 野田さんは北海道出身。明治期の北海道で、埋蔵金伝説を追う男とアイヌの少女の冒険を描いた「ゴールデンカムイ」が代表作で、2016年の漫画大賞など数々の受賞歴がある。

 ドッグスレッドの主な舞台は北海道苫小牧市。15歳の主人公・白川朗(ロウ)は、フィギュアスケート全国大会決勝で歴代最高点を記録するも、ある出来事がきっかけで失格になり、フィギュア界も永久追放されてしまう。そんな中で出合ったアイスホッケーに魅了され、強豪高校で競技に打ち込み、挫折を乗り越え成長していくストーリーだ。

 第2巻に登場するのは、八戸市内の地名「鮫」が校名に入ったアイスホッケーの強豪「八戸鮫王高校」。「~だすけ」などと南部弁で話す選手たちが大活躍、20年に営業を終了した「田名部記念アリーナ」や蕪島が出てくるほか、東日本大震災の場面もある。

 「漫画家の中でも、かなり取材を重ねる」(集英社の担当者)という野田さんは22年、八戸市内の高校アイスホッケー部の練習や試合を取材し、選手にもインタビュー。同市や自衛隊から資料の提供を受けるなど、ドッグスレッドの連載に向けて準備を重ねた。劇中の南部弁は市内在住者の監修を受けている。取材に協力した八戸工業大学第一高校アイスホッケー部の石藤壽也監督は「八戸に注目してくれてうれしい。(八戸が登場して)選手たちも喜んでいるし、励みになる」と話す。

 野田さんによると、国内ではアイスホッケーの漫画がほとんどないといい、北海道出身の自分なら本格的なものを描ける-と題材に選んだ。

 11、12年にもアイスホッケー漫画「スピナマラダ!」をヤングジャンプで連載。12年には取材で八戸市内を訪れた。しかし、人気が出ず6巻で打ち切りに。「志半ばで終わり、(心に)大きなとげが残った」(野田さん)という。

 ドッグスレッドはスピナマラダ!の反省を生かし、より完成度の高い作品を目指しているという。野田さんは「読んでいただけるとモチベーションも上がる。頑張っていきます」とコメントした。

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