常田健美術館、特別開館始まる/青森・浪岡

3日間限定で特別開館している常田健美術館=23日午前、青森市浪岡北中野
常田健が生前使用したままの状態で保存されている土蔵のアトリエ=23日午前、青森市浪岡北中野

 新型コロナウイルスの影響で2022年5月から休館している青森市浪岡の「常田健 土蔵のアトリエ美術館」の特別開館が23日、始まった。25日に同市浪岡の中世の館ホールで開かれる東北農民管弦楽団の公演に合わせ、3日間限定で開館する。初日から大勢の来場者でにぎわい、地元出身の農民画家・常田健(1910~2000年)の独特の作風を楽しんだ。

 同管弦楽団は東北各県の農業関係者らでつくるオーケストラ。浪岡で農業に根ざした生活を送った常田に共鳴し、美術館の建物を管理する常田の次女岡田文(ふみ)さん(76)にコラボレーションを打診したところ、公演会場での常田の複製作品展示と美術館の特別開館が実現した。

 館内は休館前とほぼ同じ状態のままで、代表作の「飲む男」「稲刈り」「水引人」など約40点を展示。常田がアトリエとして使用した土蔵も公開している。

 休館前に美術館のアートディレクターを務めた東京の画家山本ミノさん(72)も姿を見せ、「常田のような画家は他にいない。それぞれの時代の作品を通して、人間愛にたどり着いたその魅力を感じてほしい」と説明。岡田さんによると、現時点で美術館再開の予定はないといい「この機会に作品を見ていただければ」と語った。

 入場無料とあり、23日は朝から多くの美術ファンが来場。常田の作品を見るのは初めてという五所川原市の小山内まつ江さん(76)は「ダイナミックで素晴らしい。自分も農家なので、懐かしさも感じた」と笑顔を見せた。

 開館時間は24日午前10時~午後4時、25日午前10時~正午と午後3~5時。入場の際、暖房費として寄付を受け付けている。同管弦楽団の公演は25日午後1時半から(同1時開場)。

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