若者定着へ産学官連携 24年度県予算案事業5676万円 今夏にも協議会

高校生に県内就職を考えてもらうため、県中南地域県民局が開催した地元企業説明会=2023年10月、弘前市

 人口減少や少子化、さらには若者の県外流出による働き手不足が深刻化する中、地域経済の未来を担う人材の還流と県内定着を促すため、青森県は2024年度、若者を惹(ひ)きつけるしごとづくりに取り組む。県内の事業者と大学、自治体などの産学官で組織する協議会を初めて設立し、学生と企業が交流する機会を創出しながら県内就職、県内定着を促進していく。関連事業費として5676万円を24年度当初予算案に計上した。

 県は24年度から5年間の次期基本計画で、40年に「若者が、未来を自由に描き、実現できる社会」を目指しており、若者を惹きつけるしごとづくりはその達成に向けた政策の一環。これまで実施してきた新卒者の地元就職促進、UIJターン人材誘致の各事業を継続しつつ、新たに県内の大学生を主なターゲットとした「地域交流・県内定着促進事業」に着手する。

 同事業では、県や自治体、商工団体のほか、県内に本部を置く全16大学・短期大学による協議会を今夏にも設立。若者の郷土愛育成と県内定着に向け連携を図る。

 学生向けには「人材育成」「県内就職促進」「情報発信」を重点プロジェクトとして展開。学生の興味や希望を基に、県内企業見学バスツアーのほか、フィールドワーク、座談会などを実施する。大学側と県内企業のつながりを深めるため、教授と県内企業との交流会も計画している。

 このほか、高校生以下の若者の県内定着につなげる取り組みを継続。高校生向けでは工業高校系とそれ以外に適応した企業PRイベントを実施するほか、小学生と保護者を対象とした企業見学会、職業体験イベントなどを開催する。

 労政・能力開発課の野田保課長は「(学生の県内定着は)これまで大学ごとの点としての活動になりがちだった。昨今の人口減少で、大学も学生確保に真っ向から取り組まなければならない状況。点の取り組みを線につなげるためにも産学官の連携が必要」と語る。

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