「最後まで走り続け、彼はどこにでもいた」 “右MF”の南野拓実、決勝弾含む2ゴールに絡む活躍で現地メディアから賛辞! ゴロビンは「新たなカフー」と表現

2月25日に行なわれたリーグ・アン第23節、モナコは敵地でRCランスを3-2で下し、南野拓実は2ゴールに絡む活躍で勝利の立役者となっている。

19分にフォラリン・バログンの重戦車を思わせるドリブルと正確なシュートで先制したモナコは、さらに30分にウィサム・ベン・イェデルのシュートを相手GKブリス・サンバが弾いたところを南野が角度のない位置から反応良くシュート。セーブしようとしたサンバの手で軌道を変えてゴールラインを越えたことで、オウンゴールと記録された。

しかし、その1分後に失点し、77分には同点とされる。モナコは82分に南野がファウルを受けて獲得したPKをバログンが失敗。悪い流れのまま迎えたアディショナルタイムの90+2分、右サイドからカットインした南野が対面するマーカーをかわして左足を振り抜くと、ボールはゴール左隅に鮮やかに突き刺さった。

劇的な形でチームに勝点3をもたらした背番号18に対して、クラブはSNSでチームの2点目を「ゴロ(アレクサンドル・ゴロビン)の組み立て、ウィサム(ベン・イェデル)のドリブル、タキ(南野)のいたずら」と表現、決勝点の場面は「また彼だ。タキが試合終了間際に2点目を挙げた」と伝え、南野が「最高の気分で、とても嬉しい」と喜びを表わしたこと、ゴロビンが「我々のチームには今、新しいカフーがいる」と、ブラジル代表のレジェンドSBの名前を引き合いに出し、南野のパフォーマンスを称賛したことを紹介している。
また、クラブ主催のMVP投票で89%以上の得票率を記録して今季4度目のMVPに投票された他、リーグ・アンの「23節ベストイレブン」にウィルフリード・シンゴとともに選出されたこと(こちらも4回目)も、クラブの公式サイトが報道。この試合の南野は、右MFでより守備的なタスクを与えられていたが、「最初から最後まで走り続け、彼はどこにでもいた。守備では3度ボールを奪い、4つのデュエルに勝利。そして何より、攻撃で相手に危険をもたらした」と、攻守両面での貢献ぶりを強調した。

アディ・ヒュッター監督は、「タクミのプレーには満足している。彼は2つの得点に関与し、PKも獲得した。彼は非常に良いプレーをしてくれた」とレッドブル・ザルツブルク時代以来の関係である日本人アタッカーを称え、MFデニス・ザカリアも「チームを助け、勝利をもたらしてくれたことを嬉しく思う」と南野への感謝と祝福のコメントを残している。

リーグ・アンの公式サイトやSNSは、南野について「ヒーロー」「モナコがアウェーで勝利を挙げたクレイジーな一戦で違いを見せた」「モナコを牽引してランスを打ち負かす」「試合が終盤を迎え、引き分けが濃厚となる中、今季6点目となる見事な決勝ゴールを決め、アウェーチームを3位に浮上させた」と、随所で言及した。 現地メディアの報道では、スポーツ紙『L’EQUIPE』は、南野を「救世主」と呼び、「緊迫した終盤戦で彼がモナコに勝利をもたらした。(マーカーの)ファクンド・メディーナを振り切った後、南野はランスのゴールに強烈な左足のシュートを放った」と決勝点に注目し、彼の「最後まで信じていました。チームを助けられてとても嬉しいです。チャンピオンズリーグに進出したいです。上位争いのライバルに勝利することは重要でした」とのコメントを紹介している。

サッカー専門サイト『Made in FOOT』は、10点満点の採点で単独最高の「8」を南野に与え、「マン・オブ・ザ・マッチ」にも選定。寸評では、「右サイドの日本人選手が試合を変えた。最初に、GKサンバが跳ね返したボールを完璧にフォローして、追加点をゲット。彼のシュートはクロスのようでもあり、ランスの守護神を驚かせた。そして試合終了間際には、動揺するチームに彼が光を与え、個人技から左足で素晴らしいシュートを放った。公国のクラブはこの日、彼の力に頼ることができた」と、南野の90分間を振り返った。

『SO FOOT』は、「モナコが徐々に崩壊し、ランスに完全に追い詰められるところまでいったが、南野の天才性のおかげで最後の瞬間に立ち直った」「南野はモナコでの最初のシーズンでは苦境にあったが、今ではモナコの攻撃陣の強力な要のひとつだ。昨年12月以来ゴールがなかったが、加入して以来最高のパフォーマンスを発揮し、全てのチャンスを活かした」と、現在の充実ぶりにも触れている。
『maxifoot.fr』は、両チーム最高タイの「8.5」という高採点(2番目に高い選手でも「7」)を付与。「マン・オブ・ザ・マッチ」として、「日本人選手は素晴らしく、相手DFに大きな問題を引き起こした。ライン間を走るプレーが非常に印象的。GKサンバのオウンゴールの原因となり、終盤にファウルを受けてPK獲得、そして最後には、左足の強烈なシュートで勝利をもたらすゴールと、粘り強さと意欲が報われた。素晴らしい才能だ」と、終始ポジティブな内容の寸評を綴った。

『FOOT MERCATO』は、「2得点に絡んだ南野は、これまでと異なるポジションである右MFで輝き、モナコのXファクターとなった。救世主となった彼は、技術の正確さと効果的なプレーで見る者に感銘を与えた。その充実したプレーはチームメイトや首脳陣からも称賛され、ゴロビンはこの日本人選手を『新しいカフー』と評した」と伝えている。

最後に、モナコのクラブ専門サイト『LA DIAGONALE』は、やはり最高採点の「8」を付与し、「サンバはおそらく悪夢を見るだろう。南野はまず、ランスのGKのオウンゴールを誘発し、さらに彼にファウルを犯させてPKを獲得、そして最後には素晴らしいシュートでモナコに勝利をもたらした。この日本人選手は、やや特異でハイブリッドな右WBの役割に慣れるのに少し時間がかかったが、ジョアンネル・チャベスの負傷退場(24分)で解放された。時折やや利他的すぎ、それが正しい選択を妨げた」と、こちらは悪い点も指摘した。

構成●THE DIGEST編集部

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