大田原・下侍塚古墳で「こも外し」 小中学生ら80人、笑顔で作業 5日は啓蟄

松の木に巻き付けられたこもを外す子どもたち

 【大田原】冬ごもりしていた虫が地上に出てくる頃とされる二十四節気の「啓蟄(けいちつ)」に合わせ、湯津上の国指定史跡・下侍塚古墳で5日、松の木約90本の「こも外し」が行われた。

 松の木は1692年に徳川光圀(とくがわみつくに)が国内で初めて学術的な発掘調査を行った後、墳丘を保護する目的で植えられた。

 地域住民らでつくる「侍塚古墳松守(しょうしゅ)会」が松の木を害虫から守る意味を込め、毎年冬の前にわらで編んだこもを幹に巻き付け、啓蟄に合わせて外している。

 この日は同会員や地元の小中学生ら約80人が参加した。子どもたちは、こもに付いた虫に驚きながらも、はさみを使って丁寧に取り外していった。

 湯津上小6年児玉愛純(こだまありす)さん(12)は「虫がたくさん出てきたけど、みんなと作業して楽しかった。地域の歴史を守っていきたい」と笑顔。同会の平野精一(ひらのせいいち)会長(84)は「多くの小中学生が参加してくれてありがたい。子どもたちの思い出となって、大人になっても地元に残ってくれたらうれしい」と話した。

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