祖父が住む家に放火し殺害した事件の裁判員裁判で、広島地裁は22日、殺人などの罪に問われた男に懲役12年を言い渡しました。
殺人と現住建造物等放火の罪に問われているのは、尾道市の無職の男(24)です。
判決によりますと、男は去年5月、祖父が住む2階建ての住宅で、1階ののれんにライターで火をつけて全焼させ、祖父を急性一酸化炭素中毒で殺害しました。
この裁判では、男に知的障害があることは検察側も認めていて、量刑が争点となっていました。
検察側は事前にライターを購入するなど一定の計画性があるとし、懲役18年を求刑。一方、弁護側は「知的障害の影響で、善悪の判断能力が十分でなく、心神耗弱の状態であった」などとし、執行猶予付きの判決を求めていました。
広島地裁の後藤有己裁判長は、「知的障害の影響で事の重大性を十分に理解できておらず、その点が犯行に少なからず影響していることは否定できない」と指摘しました。
一方で、ライターを海に捨てていることや、警察には祖父宅には行っていないとうそをついていることなどから、「善悪の判断能力や自らの行為をコントロールする能力も著しく低下してはおらず、心神耗弱の状態ではなかった」とし、懲役12年を言い渡しました。