裏金、物価高、女性活躍…市民の風向きに気をもむ各陣営 総選挙にらみ政党幹部も次々来鹿 鹿児島市議選告示 61人が立候補、女性は過去最多15人

鹿児島市議選候補の選挙カーに手を振る支援者ら(画像の一部を加工しています)=7日

 任期満了に伴う鹿児島市議会議員選挙(定数45)が7日、告示された。立候補したのは61人(現職34人、新人26人、元職1人)で、うち女性は過去最多の15人(現職6人、新人9人)。派閥の政治資金パーティー裏金事件で最大会派の自民に逆風が吹く中、県都の有権者がどのような判断を下すのか注目される。投開票は14日で、翌午前0時半ごろには新議員が決まる見込み。

 候補者の政党別内訳は、現議席20の自民は21人(現職16、新人5)、5の公明は6人(現職3、新人3)、3の立民は全て女性の5人(現職2、新人3)。共産、社民、国民はいずれも現職のみで、それぞれ3人、2人、1人。現在議席を持たない維新は3人、参政は1人。無所属は19人(現職7、新人11、元職1)。

 自民は現有勢力の維持を軸に支持固めに力を入れ、他党の一部は新たな議席獲得を目指す。無所属は前回から5人増。

 全候補の投開票時の年齢は28~78歳で、前回よりも女性は4人増。現住所で九つの地域に分けると、半数以上の32人が中央地域に集中し、うち16人が新人で激戦が予想される。

 投票は14日午前7時~午後8時(一部繰り上げ)。午後9時半から鴨池ドームで開票される予定。
 期日前投票は、8~13日に市役所本庁と8支所(午前8時半~午後8時)、東桜島合同庁舎横(午前8時半~午後5時)。8日は鹿児島国際大学(午前10時~午後5時)、9日は鹿児島大学郡元キャンパス(正午~午後7時)、11~13日には勤労者交流センター(午前9時~午後8時)、イオンモール鹿児島2階(午前10時~午後8時)でもある。

 投票率は前回、過去最低の37.32%で、年代別抽出調査では20代が最も低い20.20%だった。選挙人名簿登録者数は6日現在で49万4154人(男22万5808人、女26万8346人)。

 7日告示された鹿児島市議選は、新型コロナウイルス禍で出陣式が制限された4年前とは異なり、多くの候補者が支持者を集めて気勢を上げた。「裏金」を巡る政治不信や物価高騰など、全国的な“風”に気をもみながら、サッカースタジアム整備や介護など生活に身近な課題を訴える61人の7日間の選挙戦がスタートした。

 中央地区の現職ベテランは、地元の公園で第一声。現職国会議員らが応援に駆けつけ、国や県とのパイプを強調した。市のサッカースタジアム整備を課題に挙げ、「若者とともに地域を盛り上げたい」と力を込めた。一方で陣営幹部は、候補者が多く票の分散が予想される上、国会議員の政治資金パーティー裏金問題の影響を気にかける。「厳しい選挙になる。滑り込みでもいいので当選したい」と危機感をあらわにした。

 初挑戦となる女性候補の一人は「女性の声が市政を変える」と訴える。繁華街の天文館で、連携する女性候補が合同で演説し「政治と生活は密着している」として教育や介護などの課題を買い物客に問いかけた。陣営の一人は「コロナ禍が明け、マスクを取って声を出し、市民と直接話ができる。新人はどれだけ人とつながれるかが大事だ」と気を引き締めた。

 近く予想される総選挙をにらみ、政党幹部も次々と応援に駆けつけた。全国の注目を浴びる異例の地方選となる中、若手の無所属新人は「地盤も看板もない」として、天文館で第一声を上げた。「今の政治はおかしいと思いませんか。市民のための政治に変えたい」。前回37.32%で過去最低だった投票率にも触れ、「将来の子どもたちのためにも、ぜひ選挙に行ってください」と訴えた。

 今年は1市5町の合併から20年の節目に当たる。市議の空白区となっている旧町から立候補した新人は、自宅兼選挙事務所前で出陣式を開き、「地域の声を市政に届けたい」と決意表明した。終日、旧町内に車を走らせて街頭演説し、「市民の熱い思いを受けて出馬した。地元に議員がいないのはおかしい」と支持を呼びかけた。

出陣式で気勢を上げる鹿児島市議選候補と支援者ら(画像の一部を加工しています)=7日

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