6年の努力、初めて花開く 鹿沼・見野自治会が植えた桜が見頃 「故郷への愛着につなげたい」

見野自治会が苗を植えて育て、6年を経て初めての見頃を迎えた桜並木

 【鹿沼】見野の黒川堤防沿いで、地元の見野自治会が整備したジンダイアケボノの桜並木が見頃を迎えている。桜が咲くことで誇れる古里をつくろうと、6年前に苗木を植えて育て、初めて本格的に花を付けた。成木になるまでさらに4年ほどかかるというが、桜の名所へ一歩を踏み出した。

 桜並木は、見野橋から下遠部橋までの左岸2キロ以上の区間。78本が断続的に連なる。3月末日ごろに咲き始め、今月6日ごろから満開となっている。見野橋付近では桜並木の背後を電車が走り抜け、見笹橋付近では菜の花畑とのコラボレーションが楽しめる。

 2018年3月、同自治会が子どもたちと一緒に苗木200本を植えた。人口減少が進む中、県の「とちぎのふるさと田園風景百選」に選定されている見野の魅力をさらに高めて、郷土愛を高めたり地域の活性化につなげたりすることが狙いだった。同自治会が加わる菊沢地区コミュニティ推進協議会の事業として市補助事業も活用した。

 苗木は半数以上が育たなかった。下草刈りや病虫害対策などに取り組んできたが、水揚げが悪く根を張らなかったり、シカの食害にあったりなどした。19年の台風19号では、桜を植えた場所に近い堤防が決壊し、付近も冠水し大きな被害を受けた。だが、幸いにも桜は守られ成長した。

 「よく大きく育った」と伊藤秀雄(いとうひでお)会長(72)と平井好(ひらいよしみ)前会長(75)。6年前に苗木の植栽に参加した佐藤信(さとうしん)市長は8日に現地を訪れ「きれいに咲いた。植えた子どもたちにとっては自分たちの桜。故郷への愛着につながれば」と話した。

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