佐野・東石美術館が新装プレオープン 貸スペースも完備、市民の憩いの場へ 記念展開催中

リニューアルプレオープンした東石美術館

 【佐野】建物の老朽化などの工事のため3月から休館となっていた本町の佐野東石美術館が3日、「東石美術館」に名前を変えリニューアルプレオープンした。フリースペースなどを設け、美術品を楽しむだけではなく市民の憩いの場としての利用を目指す。「オープン記念展-風薫る-」を8月27日まで開催している。2025年夏に庭園などの外装「東石スカイテラス」が全て完成し、グランドオープンする予定。

 同館は1980年に開館し、市内に拠点がある東京石灰工業(東京都中央区)が運営。開館以来、初めての大規模リニューアルとなる。建物はバリアフリー対応のため平屋造りで、個展などイベントができる貸スペースとフリースペースも完備。一部の壁はホワイトボードになっており、自由に絵を描くことができる。

 同館の新しいテーマは「イマーシブ(没入感)」。記念展では四つの展示室を夜明けの「暁(あかつき)」、昼間の「白日(はくじつ)」、夕方の「舂(うすづ)く」、夜中の「宵闇(よひやみ)」と名付け、28点の作品を順番にたどることで一日の時間の流れを感じられる。

 白日は、水色の朝顔を描いた掛け軸「爽朝(そうちょう)」などが並ぶ。青野(あおの)のぞみ学芸員は「窓際から外を眺めている気分で作品を楽しんでみてほしい」と話す。

 宵闇は照明を絞り、夜の雰囲気を演出した。夜桜を描いた「春麗(しゅんれい)」など金を使った作品を展示。暗闇で金がキラキラと光り、作品がまるで星のようなきらめきを放っている。

 新しく一つの展示室にスピーカーを設置し、今後は作品と音楽でより“没入感”を体験できるようにしたいという。青野学芸員は「個々の感性で展示を楽しんでもらいたい」と話した。

 午前10時~午後5時。入館料は大人千円、高校・大学生800円、小・中学生500円。水・木曜休館。(問)同館0283.23.8111。

リニューアルプレオープンに併せて開かれている「オープン記念展-風薫る-」

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