栃木県内、ワクチン14万回分廃棄へ 昨年秋冬の接種分として供給の2割 新型コロナ5類移行1年

 新型コロナウイルスのワクチン接種を全額公費で負担する「特例臨時接種」が3月末で終了し、2023年秋冬の接種分として栃木県に供給されたワクチンの約2割に当たる約14万8千回分が廃棄されることが7日までに、県のまとめで分かった。県感染症対策課は「接種率のとどまりを踏まえると、ある程度の残数はやむを得ない」としている。新型コロナは8日、感染症法上の位置付けが5類に移行してから1年となった。

 厚生労働省は全国の自治体に対し、特例臨時接種のために配布したワクチンを4月以降は接種せず、有效期限前でも速やかに廃棄することや、各都道府県を通じて同19日までに廃棄量を報告することを求めていた。

 廃棄されるのは23年9月20日に接種が始まったオミクロン株派生型「XBB・1.5」に対応したワクチンで、3月末までの本県への供給量は約71万2千回分。一時は国からの供給量が想定を下回り、一部自治体で予約が取りにくい状況もあったが、同30日時点の接種率は生後半年以上の県民の25.7%、65歳以上の高齢者は56.1%にとどまった。

 県感染症対策課によると、廃棄されるワクチンの金額は単価が国から示されていないため不明。担当者は「3年前の接種開始当初のワクチン不足を考えると、過不足無く供給された」とした。4月からは各医療機関で新型コロナウイルスワクチンを接種する場合、インフルエンザワクチンなどと同様に一般に流通するワクチンが使われる。

 特例臨時接種の終了に伴い、ワクチンの保管用に国から無償譲渡された超低温・低温冷凍庫も役目を終えた。県内の各自治体に提供された計約150台のうち県の保有は22台で、継続利用を希望する医療機関や、保健所などの関係機関に割り振った。他のワクチンや試薬、検体の保管などに使われる見通し。譲渡の要望は県立博物館や県農業試験場からも寄せられたといい、同課は「広い分野で冷凍庫を有効活用してほしい」とした。

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