輪島港の漁船40隻、舳倉島へ 県漁協、浚渫へ6月までに移動 

輪島港の浚渫スペースを空けるため、舳倉島に向かう漁船=同港

 能登半島地震で約200隻の漁船が停泊したままの輪島港で25日、漁船18隻が北方約50キロの舳倉(へぐら)島へ移動した。地震で地盤が隆起した輪島港の海底を掘削する浚渫(しゅんせつ)スペースを確保するためで、石川県漁協輪島支所は一日も早い漁の再開に向け、6月までに小型漁船約40隻を島に係留させる。

 舳倉島は地震で発生した津波で発電所が止まり、無人の状態が続くが、漁港の岸壁や防波堤に大きな被害はなかった。4月以降、島の漁場を管理する同市海士(あま)町の住民らが島に渡り、港内に流れ込んだ瓦礫(がれき)や漁網を回収。漁船が係留できるまでに回復した。

 一方、輪島港では北陸地方整備局が石川県に代わり、船が航行できる水深2~2.5メートルまで掘削する作業に取り組んでいる。

 輪島港は水深3~4メートルあったが、地震で1~2メートル近い隆起が確認された。約200隻の漁船は出漁できず、大半が輪島港の南西側に位置する支所付近で停泊。仮桟橋が整備された荷さばき場や北側の岸壁付近で浚渫作業が終わり、西側の物揚場付近も6月末までに作業が完了する。

 7月からは漁船が停泊する支所付近で浚渫が始まる予定。県漁協輪島支所は刺し網などに使う5トン未満の小型船をいったん舳倉島に移し、掘削作業船が入るスペースを空ける。残る漁船は浚渫作業に合わせ、順に港内を移動させる。漁再開のめどは立っていない。

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