2度の大雨で壊滅…最大生息わずか2匹 ホタル群舞よ再び! 全国でも珍しい1級河川のホタル名所、官民一体で初の協議会 鹿児島・さつま町

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 鹿児島県さつま町の川内川本流で近年激減するホタルの再生に向け、官民で取り組む協議会が20日発足した。初会合が町役場であり、川内川河川事務所が昨年12月に初めて実施した幼虫の生息調査について報告。町内16地点で10メートル四方を20分間調べたところ、各所の最大観測数は2匹だったとした。

 川内川本流は1級河川でホタルが群舞する場所として全国的に珍しく、ホタル舟も運航しているが、2006年7月の豪雨で激減。幼虫やその餌となるカワニナが流されたことが主な原因とみられ、徐々に回復していたが、21年7月の大雨で再び急激に減った。

 協議会は上野俊市町長を会長に、ホタル舟を運航する団体や漁協、有識者ら委員22人で構成。再生に向けた組織づくりは初の試みで今後、生息状況の調査や多様な動植物が生きられる環境づくりを目指す。

 河川事務所の幼虫調査は、ホタル舟の運航区間を含む16地点で実施。二渡地区の1地点で最大2匹、時吉地区は同1匹、神子地区は確認できなかった。

 カワニナの生息数も調べており、1平方メートル当たりの最大観測数は二渡地区の1地点で279匹だった。17年5月の同様の調査では、場所は異なるが同じ二渡地区で、最大約1400匹を確認した。

 初会合では、今季も支流と違い、本流ではほとんどホタルは出ていない現状が紹介された。原因究明に向けて「水流が強まり、環境が変化した」「水質の変化はどうか」といった意見が出された。上野町長は「さまざまな観点から対策を検証し、長期的な展望で何とか再生につなげたい」と話した。

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