被災逃れた思い出ピアノ 温かい音色に合わせ合唱 女性教諭、小松市立高に寄贈

被災を逃れたピアノで、歌の練習をする合唱部=小松市立高

 小松市立高に27日、能登半島地震の被害から逃れたピアノが設置された。輪島市の実家が半壊し、取り壊しを余儀なくされた同校の女性教諭(31)が、「苦しい状況でも耐え抜いてくれたピアノ。生徒たちの活力になってくれたらうれしい」との思いで寄贈した。

 女性教諭にとってこのピアノは、幼いころによく母と一緒に弾いていたもので、20年間の思い出が詰まっている。元日の地震ではピアノが置いてあった部屋だけが無事で、無傷だったという。

 ピアノは同校のエントランスホールに置かれ、27日は合唱部によるお披露目コンサートが開かれた。部員14人がピアノの温かい音色に合わせ、「おおシャンゼリゼ」などを歌唱。女性教諭や生徒らは旋律に耳を傾けながら能登に思いを寄せた。

 女性教諭は「みんなの心の中にこの音が残ってくれたらうれしい」と話し、ピアノを演奏した林斎希(ゆづき)さん(2年)は「明るい音がした。感謝の思いを込めて弾きました」と笑顔を見せた。ピアノは自由に演奏でき、同部の練習にも活用する。

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