荒駒ささぐ伝統の野馬懸 福島県相双地方の「相馬野馬追」閉幕

走り回る裸馬を素手で取り押さえる御小人

 25日から福島県相双地方で繰り広げられた国重要無形民俗文化財「相馬野馬追」は27日、南相馬市小高区の相馬小高神社で神事の野馬懸(のまかけ)を行い、閉幕した。野馬に見立てた裸馬を素手で捕らえて神前に奉納した。

 境内に設けられた竹矢来(たけやらい)に、騎馬武者が3頭の裸馬を1頭ずつ追い込んだ。御神水(おみだらし)で浸した駒とり竿(さお)を、神前に奉納する神馬(しんめ)となる1頭へ打ち付けた。

 白装束をまとい、身を清めた御小人(おこびと)10人が、砂煙を巻き上げながら激しく走り回る神馬に素手で立ち向かい、首や体にしがみついた。何度か振り落とされながらも、無事に捕らえて奉納した。伝統の神事を一目見ようと訪れた大勢の来場者から拍手や歓声が上がった。

 野馬懸は藩政時代の名残をとどめる神事とされ、相馬野馬追が国重要無形民俗文化財に指定される決め手になったとされる。伝統の行事を無事に執り行い、野馬追の全日程が終了した。

© 株式会社福島民報社