輪島―門前の分断解消へ 中屋トンネル、6月から仮復旧工事

中屋トンネルでは仮復旧工事に向けた準備作業が進む(北陸地方整備局能登復興事務所提供)

  ●北陸整備局長が方針

 国土交通省北陸地方整備局は6月、能登半島地震の影響で崩落し、通行止めが続く国道249号の中屋トンネル(輪島市)の仮復旧工事に着手する。能登最長のトンネルで同市中心部と同市門前地区を結び、奥能登でも重要区間の一つ。工期は数カ月を見込んでおり、早ければ夏にも通行可能となる。遠藤仁彦局長が北國新聞社の取材に対し、方針を明らかにした。

 中屋トンネルは延長1.26キロで輪島市門前町西円山と門前町浦上の間を走る。地震で内部を覆うコンクリートが3カ所、延長計80メートル余りで崩落した。

 これにより市中心部と門前地区を結ぶ最短ルートが分断され、互いを行き来する車は現在も穴水町経由の迂回ルートを余儀なくされている。所要時間は中屋トンネル経由なら30分だが、穴水経由だと50分かかる。

 北陸地方整備局は地震後、崩落したコンクリートや土砂の撤去を進めるとともに、破損状況の確認や、トンネルが貫く山のボーリング調査を実施し、復旧が可能と判断した。

 中屋トンネルにはもともと、山の崩壊や変形を防ぐため、長さ数メートルの鉄棒が内側から放射状に打ち込まれている。復旧工事では、崩落箇所にこの鉄棒を追加して打ち込む。その後、内部に鋼板製の覆いを設置し、1車線を確保する。

 遠藤局長は「重要区間であり、一日も早い仮復旧を目指したい」と述べた。

 ★中屋トンネル 輪島と門前の境界付近に位置する「魔の坂道」と呼ばれる交通難所を解消するため、石川県が総事業費57億3千万円を投じて建設し、1993年に開通。地震前は門前から輪島に通勤や通学、通院する人をはじめ多くの住民が利用し、平日1日あたり約3千台が通行した。

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