参加者2.5倍で土俵を増設…第25代横綱・西ノ海を輩出した西之表に相撲ブームがやって来た

特設を含め、三つの土俵で稽古する榕城小学校の児童=西之表市の同校

 鹿児島県西之表市の榕城小学校(全校児童441人)で、相撲人気が高まっている。市のわんぱく相撲大会に向けて結成された同好会には、昨年の2.5倍の31人が参加。既存の土俵だけでは足りず、白線を引いて二つの特設練習場を作り、計3カ所に分かれて稽古を重ねた。

 同市はかつて、大相撲第25代横綱・西ノ海嘉次郎(本名牧瀬休八、1880~1931年)を輩出した。現在も同市現和出身の十両・島津海関(28)=本名中園空、放駒部屋=が活躍。昨年には同校の児童も九州、全国大会に出場するなどブーム到来の下地はあった。

 「勝てたときのうれしさがいい。相撲をやってみてよかった」と2年岡留礼愛さん。初めて同好会に入った4年窪田翼君は「友人が楽しそうで挑戦した。全力で相手にぶつかれるのが面白い」と汗を拭った。

 南種子町出身の才川文秋校長(54)も積極的に稽古に顔を出すほど“相撲愛”が深い。「チャレンジが目標なので、たくさん集まってくれてうれしい。昨年の活躍も子どもたちに響いたのだろう」と話す。

 26日にあった市わんぱく相撲大会では、団体戦こそ優勝を逃したものの、個人戦で奮闘。特に6年生は男女とも盤石の強さで制し、市内最大校の面目を保った。2年連続で個人戦優勝の6年長野美空さんは「緊張したけど勝ててよかった。相手を力いっぱい押せた」と笑顔をのぞかせた。

◇大会史上初、古田小参戦で市内全10校そろう

 26日にあった西之表市のわんぱく相撲大会には、古田小学校2年の柴田英若君が同校から初参戦。強豪・住吉小での“出稽古”で基礎を学んだ。惜しくも1勝には届かなかったが、「相撲は面白い」と満足そうだった。

 安納小と合同で出場した団体戦では、立ち合いのぶつかりで前歯を折るアクシデントが発生。それでも闘志は衰えず、個人戦では相手を土俵際まで追い詰める健闘を見せた。「あともう少しだった。早く次の大会に出たい」と雪辱を誓った。

 古田小の出場で、大会史上初めて市内全10校が顔をそろえた。エントリーした134人のうち、女子が50人を占めたのも特徴的。市相撲連盟の宮脇正幸会長(57)は「久々のにぎわいでうれしい。(大相撲十両の)島津海が頑張っているおかげもあるのだろう」と話した。

気合十分のまなざしで仕切る古田小学校の柴田英若君(左)=26日、西之表市西之表
特設を含め、三つの土俵で稽古する榕城小学校の児童=西之表市の同校

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