「ウミガメの渚」守り30年…砂浜清掃、パトロール、卵の保護から放流まで 会員18人、強い使命感で節目迎える 南大隅町

ウミガメの保護活動を続けて30年を迎えた「渚を守る会」のメンバーら=南大隅町根占山本の大浜海岸

 鹿児島県南大隅町根占山本の大浜海岸で、ウミガメの保護に取り組む「渚を守る会」が1994年に活動を始めて30年となった。長年、清掃や早朝パトロールを続けており、ウミガメがやって来やすいように、美しい砂浜を保っている。

 同会は、ウミガメの卵がほかの動物に食べられたり、腐ったりすることを心配した住民有志で立ち上げた。会員は農家や町議ら18人。海岸の清掃活動などをしており、19日には午前10時から1時間、メンバーら11人が、流木やペットボトルを拾い集めた。

 会長の中村優さん(80)は「地元のわれわれがやらないといけない」と使命感を強調。5~8月の産卵シーズンには毎日、午前4時から約1時間半、海岸のパトロールをしている。

 警戒心が強いウミガメは深夜や明け方に砂浜に現れ、穴を掘って100個ほどの卵を産む。中村さんらは、海への流出や動物から守るため、別の場所に移して保護する。昨年は4回で計459個の卵を確認し、303個がふ化した。

 同会によると、45~75日でふ化する。生まれたらすぐに海に帰すことにしている。例年、夏場にある放流会が人気で、昨年は一度に約170人が集まった。会のまとめ役の寺園洋一さん(76)は「また新型コロナがはやりだして心配だが、今年も開催できれば」と語った。

渚を守る会のメンバーが見つけたウミガメ=南大隅町根占山本の大浜海岸

© 株式会社南日本新聞社