【シンガポール】環境犯罪の資金洗浄リスクを公表=金融庁[金融]

シンガポール金融管理庁(MAS、中央銀行に相当)は29日、内務省、財務省と共同で環境犯罪に絡む資金洗浄(マネーロンダリング)に関する国のリスク評価や対策などをまとめた報告書「エンバイロメンタル・クライムス・マネーロンダリング・国家リスクアセスメント(NRA)」を公表した。

報告書によると、毎年、野生生物の違法取引や違法伐採などの環境犯罪は、世界全体で約1,100億米ドル(約17兆2,900億円)から2,810億米ドル規模の犯罪利益を生み出していると推定されている。シンガポールは国際金融センターや貿易のハブとしての機能を持ち、対外志向の強い経済であることから環境犯罪の資金洗浄リスクにさらされているという。

報告書の評価によると、シンガポールは東南アジアで横行する野生生物の違法取引、違法伐採、廃棄物取引に起因する資金洗浄の脅威を受けやすいことが明らかとなった。銀行や越境決済サービス事業者は、他業種の企業と比べて環境犯罪の資金洗浄に悪用される可能性が最も高いことも分かった。

一方でシンガポールには、環境犯罪に関する資金洗浄の摘発や、資金洗浄捜査、訴追、資産回収に加えて、国際協力に向けた強力で透明性の高い法的枠組みがある。こうした環境犯罪の摘発レベルと規制の程度を考慮し、犯罪者が環境犯罪の資金洗浄にシンガポールを利用するリスクは中~低レベルであると評価している。

金融管理庁は声明で、「シンガポール政府当局は引き続き警戒を怠らず、今回特定されたリスクを軽減するための適切な措置を講じる」と説明。「政府・金融機関や特定の非金融事業者、専門家は、リスクを評価する際に今回の評価を参考にし、必要に応じて管理体制を強化すべきだ」と付け加えた。

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