【タイ】国際食品見本市、売上は4千億円=商務省[食品]

濵田酒造の谷本章氏は、本格芋焼酎「だいやめ」をアピールする=28日、タイ・ノンタブリ県(NNA撮影)

タイの首都バンコク近郊で28日、国際食品見本市「タイフェックス・アヌガ・アジア(THAIFEX-ANUGA ASIA)2024」が開幕した。今年は8万人が来場し、売り上げが1,000億バーツ(約4,300億円)に上ると見込まれる。

バンコク北郊ノンタブリ県ムアントンタニの展示会場「インパクト」で5日間開催されるイベントには、50カ国・地域の3,000社を超える企業が参加し、6,000ブースを構えた。今年は新たに、カナダやチェコ、エジプトなどの国からの出展があった。

プムタム商務相は開会の辞で、「中小企業や新興企業を含むタイの企業にとって、自社の製品やサービスを展示し、世界中のバイヤーや輸入業者とつながる絶好の機会となる」と述べた。同相は売り上げ全体の6割をタイ企業が占めるとの予測を示した。

プムタム氏によると、2023年のタイの食品輸出額は前年比2.7%増の390億米ドル(約6兆円)超で、世界第12位の食品輸出国となった。24年には、輸出額が約2%増の400億米ドル超に達すると予想した。

■ジャパンパビリオンも盛況

日本貿易振興機構(ジェトロ)は今年もジャパンパビリオンを設置。昨年と同規模の35社・5団体が参加し、和牛や水産物、酒類などをアピールした。地方自治体では、高知県と和歌山県、福井県、札幌市がブースを構え、地元企業を支援した。参加企業のうち約半数に上る17社・2団体が初出展で、東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心とした販路拡大を目指す。

東南アジアなどを管轄する、高知県シンガポール事務所の西森弘登駐在員は、地元の水産物・加工品の売り込みの応援に駆けつけた。西森氏はNNAに対し、「シンガポールをはじめ、東南アジアの中でも人件費の高騰が激しい地域では飲食業界での人員不足が慢性化しており、調理工程が短縮できる切り身の魚や調理済み食品などの需要が増している」とコメント。一方でタイは、鮮魚に比べ水産加工品の輸入規制が厳格であるため、保健省食品医薬品委員会(FDA)の認証取得に時間を要するのが難点だと指摘した。

焼酎メーカーの濵田酒造(いちき串木野市)のマーケティング本部市場開発部長の谷本章氏は、ライチのような華やかな香りが特徴の本格芋焼酎「だいやめ」をPRする。谷本氏はタイの日本焼酎市場に関して、「円安の影響で富裕層が日本に渡航し、現地で消費することが多くなったため、国内での販売は減少傾向にある」と話す。しかし、同社が提供するだいやめは、「フルーティーな香りで女性の人気も高く、中高所得層のタイ人の間で需要が増えているため、売り上げが前年比30%増加した商品がある」という。今後もブランディングを強化していく考えを示した。

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