400億円超で最終調整 県の復興基金 政府・与党で上積み協議

  ●液状化対策や神社修復

 能登半島地震の復旧・復興に充てるため、政府が財源を拠出する石川県の復興基金の規模について、政府・与党の間で400億円を超える方向で最終調整されていることが29日、与党関係者への取材で分かった。熊本地震の際の基金は500億円以上だったため、さらに上積みできないか詰めの協議が進められている。近く馳浩知事に概要が伝えられ、県は6月に基金を創設し、液状化対策や神社の修復・再建など幅広い支援メニューを検討する方針だ。

 復興基金は、被災自治体の財政規模などを基にして算定される。石川県より財政規模の大きい熊本県で発生した2016年の熊本地震では、国から県に510億円が交付され、その他の財源分も含めて計523億円の基金が創設された。

 石川県の財政規模から算定すれば、国からの交付額は300億円程度とみられるが、半島特有の困難な事情などが考慮され、増額が検討されているもようだ。

 基金の場合、国庫補助の対象にならない復旧工事費にも利用でき、住民の生活再建など複数年度にまたがる事業予算を安定的に確保できる利点がある。

 基金の活用策として、馳知事は液状化被害があった宅地の傾きを戻したり、地盤を改良したりする工事を想定している。

 さらに、政教分離の観点から行政から補助金が出にくい神社の再建についても、熊本地震の時には、被災した神社が地域コミュニティーの核としての機能を持つとして熊本市が再建費を補助したケースがあり、石川県でも同様の手法を検討していく。

 県は復興基金の詳細が分かり次第、開会中の県議会6月定例会に基金設置に関する条例案を提出する。基金の財源は政府の特別交付税で、県はいったん全額を積み立てた後、一部を市町に振り分ける。

 これとは別に県は9月補正予算案で、基金を使った復旧・復興事業を打ち出す方針だ。

© 株式会社北國新聞社