ILC、加速器の可能性を考える 盛岡でKEK阪井寛志氏が講演

加速器関連の最新技術について理解を深めるセミナー参加者

 いわて加速器関連産業研究会(水戸谷剛会長、会員264企業・団体)は29日、盛岡市内丸のトーサイクラシックホール岩手で国際リニアコライダー(ILC)に関するセミナーを開き、約30人が最新技術への理解を深めた。

 高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)で応用超伝導加速器イノベーションセンター長を務める阪井寛志氏(51)が講演。ILCに不可欠な技術として、光に近い速度まで粒子を加速させる超伝導空洞について触れ「基礎研究から産業での応用まで幅広い技術。小型化もできそうだ」と説いた。

 加速器を使って木材にエネルギーの大きい電子ビームを当てることで、植物由来の新繊維「セルロースナノファイバー」を効率よく生成できる例も紹介。「医療や情報通信、インフラなど各分野の開発にも使われており、物の改質や加工もできるようになる」と展望を語った。

 同日は総会も開かれ、KEKと連携して県内企業の機器開発を支援したり、技術力を磨くため実践型の部会を開くなどの取り組みを盛り込んだ本年度事業計画を決めた。

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