津波で流出した高田松原の松の木で作った先住民の伝統楽器「インディアンフルート」 製作の男性がコンサート 岩手・釜石市

東日本大震災の津波で被災した高田松原の松の木で作った笛を使ったコンサートが29日釜石市で開かれ、奏でられる美しい音色が訪れた人たちの心を癒やしました。

コンサートを行ったのは、北海道の恵庭市で楽器の製作と演奏を行う小野昭一さんです。小野さんが吹いている笛は、インディアンフルートという北アメリカの先住民の伝統楽器です。インディアンフルートは、津波で流出した陸前高田市の高田松原の松の木で作られました。

(小野 昭一 さん)
「あの津波に打ちのめされた木がこんなに優しい響きをしている。なんか不思議でね」

1本の木を削って作られた笛は、音階ごとに音色が異なり独特な音楽を奏でます。小野さんはこの笛と東北の被災地を回るコンサートを行っていて、29日は釜石市で地域の人たちが音色に耳を傾けました。

(コンサートを訪れた人は)
「小野さんの息遣いがそのまま笛に表現されていて、その人らしさが本当に現れる楽器というのが面白いなと思いました」
「笛の1本1本の音がまったく違って、人もそれぞれ違ってていいんだなと思うことができました」

小野さんによってインディアンフルートとして新たな命を吹き込まれた津波に流された松の木。その音色が聞く人の心を癒やしています。

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