金沢城に五箇山鉄砲隊 百万石まつり・盆正月 6年ぶり「塩硝の道」発信

金沢百万石まつりの「加賀百万石『盆正月』」で火縄銃の演武を披露する五箇山煙硝鉄砲隊=2018年6月、金沢市の金沢城公園新丸広場

  ●南砺の隊員、2日出演

 火縄銃の演武を披露する南砺市の「五箇山塩硝(えんしょう)鉄砲隊」が6月2日、金沢市の第73回金沢百万石まつり(北國新聞社特別協力)に6年ぶりに出演する。五箇山は加賀藩時代、黒色火薬の原料である「塩硝」を年貢として金沢まで運んでいた。隊員は「迫力ある演武を披露し、五箇山と金沢の縁を発信したい」とし、加賀藩の絆を広めようと意気込んでいる。

 五箇山塩硝鉄砲隊は、2014年に藩政期に火薬の原料「塩硝」を五箇山から運んだ「塩硝の道」を広めるため、南砺市の太美山、五箇山地域の住民15人で結成された。17年に金沢城公園が会場の金沢百万石まつりの関連イベント「加賀百万石 盆正月」に初参加し、18年も出演した。

 コロナ禍もあってその後、出演依頼はなかったが、金沢市内では昨年、4年ぶりに金沢湯涌江戸村のイベントで演武を披露した。18年は大阪、長野など5地域の鉄砲隊が出演したが、今回は五箇山隊のみとなる。金沢市は「塩硝の道を通じて金沢と交流のある五箇山隊にだけ依頼した」(観光政策課)としている。

 27日に南砺市上梨のこきりこ館で、練習会が開かれ、出演隊員12人のうち射手の男性3人、女性4人が立って銃を構える姿勢や膝立ち、千鳥の構えの姿勢を確認した。本番では衣装を着て、太鼓やのぼり旗、ほら貝を吹く隊員が加わる。発足時から五箇山隊を指導する武具鑑定士で、堺鉄砲研究会主宰の澤田平さんの号令で、一斉射撃やつるべ撃ちなどを行う。

 女性隊の渡辺洋子さん(66)は「鉄砲隊は私たちだけなので責任重大」、吉尾邦子さん(71)も「緊張している」と語る。五箇山塩硝鉄砲隊長の大瀬雅和さん(74)は「金沢城で久しぶりに演舞を披露できて光栄。五箇山と加賀藩の歴史的なつながりを知ってほしい」と話した。

 ★塩硝の道 塩硝は黒色の火薬の原料となる硝酸カリウムのことで、加賀藩は五箇山で大量に塩硝を生産させ、年貢として金沢に運ばせた。土清水塩硝蔵跡(金沢市涌波町、国史跡)で、鉄砲に使う黒色火薬が製造されていた。このルートを「塩硝の道」と呼び、金沢、南砺両市の団体で2013年に「塩硝の道広域研究会」を設立し、交流、研究に取り組んでいる。

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