県の復興基金、530億円超で決着 「熊本以上」へ 首相上積み決断 

  ●31日、国費分発表 

 能登半島地震の復旧・復興に充てるため、政府が財源を拠出する石川県の復興基金が、530億円を超える規模で創設される見通しとなった。30日、政府、与党関係者への取材で分かった。熊本地震の基金は総額523億円で、熊本県より財政規模が小さい石川県は400億円余りとする案で固まっていたが、関係者によると、30日になって岸田文雄首相が半島特有の事情などを考慮し、「熊本以上」への大幅な上積みを決断した。

 基金は、国からの交付税と、宝くじの収益金の二つが財源となる。熊本地震では基金523億円のうち交付税が510億円、宝くじ収益金が13億円だった。能登半島地震は交付税が510億円超、宝くじ収益金が20億円程度となる見込み。

 このうち、510億円超の交付税の部分については、31日に開催される政府の能登半島地震復旧・復興支援本部会合で、岸田首相が発表する見通しだ。

 基金は本来、被災自治体の財政規模などが算定のベースで、石川県であれば300億円程度となる。ただ、能登の場合、道路などのインフラの被害が過去の災害以上に復旧・復興を遅らせているという半島特有の事情があり、政府内では400億円に増額する案で最終調整に入っていた。

 30日になって、自民党能登半島地震対策本部の茂木敏充本部長らが首相官邸を訪れ、財政支援の強化を求める第2次提言を岸田首相に渡したことで、増額の流れがさらに強まった。提言では、能登の市町の厳しい財政事情に配慮し、過去の災害を上回る基金の規模とするよう訴えた。

 これに対し、2度の被災地入りで現地の惨状を目の当たりにした岸田首相は「内容をしっかり受け止め、施策に盛り込んでいきたい」と応じ、基金の国費分について510億円の熊本以上に引き上げるよう関係当局に指示したという。

 これを受け、県は、県議会6月定例会に基金設置の条例案を提出し、6月中に創設する方針。基金は国庫補助の対象にならない復旧工事費にも利用でき、県は液状化対策への活用などを想定している。

© 株式会社北國新聞社