「平和への誓い」は三瀬さん 8月9日の平和祈念式典 川柳や講話で長年訴え 長崎

三瀬清一朗さん

 長崎市は30日、長崎原爆の日(8月9日)の平和祈念式典で「平和への誓い」を読み上げる被爆者代表に同市の三瀬清一朗さん(89)を選んだと発表した。同市役所で会見した三瀬さんは「いかに平和がありがたいか、人間の命がいかに尊いかをお話ししたい」と意気込みを語った。
 三瀬さんは10歳の時、爆心地から3.6キロの同市矢の平町(当時)の自宅で被爆。一緒にいた家族も無事だったものの、いとこや伯母7人が爆死した。
 長年、川柳や語り部活動で戦争の愚かさと平和のありがたさを訴えてきた。2017年には非核特使の委嘱を受け、核兵器禁止条約の制定交渉が行われる米ニューヨークの国連本部であった集会で「誰も二度と同じ目に遭わないよう、核廃絶の声を上げてほしい」と呼びかけた。語り部としては昨年、修学旅行生らに計78回講演した。
 今年は、被爆当時4~13歳だった県内外の11人(男性6、女性5)が応募。選定委員会(調漸会長ら5人)が同日、最終候補者4人のスピーチ映像を見て審査した。三瀬さんは被爆者代表の公募が始まった17年から計4回応募し、5回目で選ばれた。
 調会長は会見で「被爆当時の描写が具体的で、話も伝わりやすい。伝える力が十分にあり、ふさわしい」と選定理由を説明した。

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