県の復興基金540億円 首相表明 国の交付税520億円

 岸田文雄首相は31日、能登半島地震の復旧・復興支援本部会合で、石川県が設置する「復興基金」の財源として特別交付税520億円を手当てする方針を表明した。基金のもう一つの財源である宝くじの収益金は20億円程度となる見込みで、基金の総額は540億円規模となる。県は6月、基金設置に向けた条例案を県議会に提出する。

 基金は使い道の自由度が高く、補助金の支給要件に該当しない事業や複数年にまたぐ事業などに使える。岸田首相は会合で「県の創造的復興プランに基づいて行う液状化対策、宅内配管修繕、住宅再建利子助成など住民のニーズに沿ったきめ細かな事業を支援する」と述べた。

 基金の財源とする特別交付税は従来、被災自治体の財政規模などを基に算出していた。今回の地震で大きな被害を受けた能登地域の6市町は高齢化率が高く、財政力が低いことを考慮し、従来方法での算定額に200億円上乗せした。

  ● 降雨時の対策強化求める 朝市エリア「撤去加速を」

 首相はこのほか「輪島朝市エリアなどでの面的な解体撤去を目に見える形で抜本的に加速してほしい」と指示した。梅雨や台風の時期を迎えることから、自治体と連携し、降雨時の警戒態勢構築など万全の対策を取ることを求めた。道路の復旧を後押しするため、国と自治体による連絡調整会議の設置も指示した。

 会合では環境、法務両省が、公費解体の加速化に向け、大規模な火災があった輪島朝市の全264棟が「滅失」したとの登記手続きを30日に完了したと報告した。農林水産省は4月の県全域の漁獲量が前年同期比76%、能登6市町で61%だったと説明した。

 液状化対策が課題となっている富山、新潟両県には、特別交付税を新たに配分する。

 首相の表明を受け、馳浩知事は「今回の地震の特殊性を大いに考慮いただいた。基金を最大限活用し、市町への配分も含め被災地のニーズにきめ細かく対応したい」とコメントした。

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