セルティックスの強さを疑問視する声にドレイモンドが牽制「本当の試練に直面せず、ファイナルへ辿り着くことなんてない」<DUNKSHOOT>

5月30日(日本時間31日、日付は以下同)、NBAプレーオフはウエスタン・カンファレンス・ファイナル第5戦が行なわれ、ダラス・マーベリックスがミネソタ・ティンバーウルブズを124-103で撃破。シリーズ4勝1敗でNBAファイナル進出を決めた。

ルカ・ドンチッチ、カイリー・アービングを擁するマブズは、ウエストを12勝5敗(勝率70.6%)で勝ち上がり、2011年以来通算3度目のファイナルへと駒を進めた。優勝をかけて頂上決戦で対戦するのは、今季リーグ最高勝率(78.0%/64勝18敗)を残したボストン・セルティックス。

2015年から10年連続でプレーオフに出場しているセルティックスは、ロサンゼルス・レイカーズと並んでNBA歴代最多タイの優勝回数(17回)を誇り、今季のチームにはジェイソン・テイタム、ジェイレン・ブラウン、ドリュー・ホリデー、デリック・ホワイト、アル・ホーフォードが在籍。ここに右ふくらはぎの肉離れで1回戦の途中から離脱しているクリスタプス・ポルジンギスが復帰すれば、その戦力はさらに増すことが確実だ。

チームはファーストラウンドでマイアミ・ヒート、カンファレンス・セミファイナルでクリーブランド・キャバリアーズをそれぞれ4勝1敗で突破し、カンファレンス・ファイナルではインディアナ・ペイサーズを4タテ。2回戦から7連勝中、プレーオフ全体では12勝2敗(勝率85.7%)と圧倒的な強さを発揮している。
そんななか、30日にゴールデンステイト・ウォリアーズのドレイモンド・グリーンがポッドキャスト番組『The Draymond Green Show』の最新エピソードで、ここまでのセルティックスをこう評していた。

「セルティックスはたった2敗でファイナルへ進出した。で、みんなは『あのチームの道のりはタフじゃなかった』と言うんだ。正直、俺はイーストがタフだなんて考えたこともない。だが俺もかつて無敗でNBAファイナルへ進んだことがある。当時、俺たちの勝ち上がりがタフじゃなかったとは誰も言わなかったね」

セルティックスのポストシーズンの戦いを振り返ると、ヒート戦はジミー・バトラーとテリー・ロジアーが欠場、キャブズとのシリーズはジャレット・アレンが全休したことに加え、ドノバン・ミッチェルがラスト2試合を欠場、ペイサーズ戦もタイリース・ハリバートンが第3、4戦で欠場していた。

セルティックスもポルジンギスが離脱しているはいえ、対戦相手の主力欠場が相次いだことで、現在のチーム力を疑問視する声もある。
2000年以降、12勝2敗、もしくはそれ以上の戦績でファイナルに勝ち進んだのは今年のセルティックスが8チーム目。そのうち2001年のレイカーズ(11勝0敗/※当時の1回戦は3勝先取)、2016年のキャブズ(12勝2敗)、2017年のウォリアーズ(12勝0敗)が優勝しており、17年のウォリアーズは15連勝を含む史上最高の16勝1敗(勝率94.1%)で頂点に立った。

キャリアで6度ファイナルに出場し、4度の優勝を経験したグリーンは、セルティックスの強さに疑問を呈する声に次のように反論した。
「彼らはセルティックスが“本当の試練”に直面していないと言う。NBAファイナルの舞台で勝とうが負けようが、あのチームはそれを経験して乗り越えていないと言うことになるんだろう。だが俺に言わせれば、シーズン中に本当の試練に直面せず、ファイナルへ辿り着くことなんてないんだ」

セルティックスは今年のプレーオフ14試合でオフェンシブ・レーティングがリーグ2位の119.6、ディフェンシブ・レーティングでも同3位の108.7の高水準。ただ、ペイサーズとのシリーズでは終盤まで劣勢を強いられた試合が複数あり、4勝0敗という結果が示す以上に接戦だった。

17年ぶりの王座奪還を狙うセルティックスが、フルメンバーのマブズ相手にどんな戦いを見せるのか。ファイナルは6月7日にボストンのTDガーデンで開幕する。

文●秋山裕之(フリーライター)

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