竹田市の水利施設「世界かんがい遺産に登録を」 土地改良区などが新組織設立へ【大分県】

城原八幡社付近を流れる城原井路=竹田市米納
城原八幡社付近を流れる城原井路

 【竹田】竹田市各地にある水利施設を「世界かんがい施設遺産」に登録しようと、市内の土地改良区などが新たな組織を6月にも設立する方針を固めた。先人の功績を顕彰するとともに施設の維持管理への理解を深めてもらい、水の恵みを後世に引き継ぐ一助とする考え。

 市内の6土地改良区や市、県などでつくる竹田地域土地改良推進協議会(会長・佐藤慶一荻柏原土地改良区理事長)の理事長会が24日、登録に向けて手続きを進めることを確認した。

 農水省によると、世界かんがい施設遺産は、施設の適切な保全などを目的に国際かんがい排水委員会(ICID)が認定・登録する。建設から100年以上が対象。ダムや貯水施設、水路といった施設で、▽かんがい農業の画期的発展に寄与▽当時としては先進的で卓越した技術―などの基準がある。

 今年5月現在、世界で161カ所、国内では51カ所が登録されている。2021年、「宇佐のかんがい用水群」が県内で初めて選ばれた。

 新組織は協議会の構成団体に加え、市内各地の水利施設の管理者にも参加を呼びかけて6月下旬の設立を目指す。7月から登録に向けた資料作りに着手。来年2月の応募締め切りに間に合うよう、年末までに申請書を完成させる。来年9月ごろの登録決定を目標にしている。

 市内には1663年に完成した城原井路をはじめ、100年以上を経過した水路が複数ある。

 佐藤会長(70)は「市内には山や谷があり、水路橋やサイホンなどが数多くある。農産物は水の恵みがあってこそ。先人の苦労を知ってもらい、施設を未来につなげたい」と話した。

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