「全員の守備が非常に優秀。だから強い」3年ぶり代表復帰の中国ベテランが日本女子を称賛! 一方で自国代表に「何もかもできてない」と苦言【ネーションズリーグ】

バレーボール女子日本代表は、参戦中のネーションズリーグ(VNL)で、ともにパリ五輪への切符を狙う中国代表と現地5月31日に行われた2週目第3戦(会場/中国・マカオ)で激突。セットカウント3-1(25-22、19-25、25-18、25-17)でアジアのライバル対決を制して、五輪出場へのカギを握る世界ランクで同7位へ浮上した。

パリ五輪出場への条件は、今大会の予選終了時に世界ランクでアジア1位を奪取、もしくは、出場決定国を除く同ランクで上位3枠入りすることだ。試合開始の時点で8位だった日本は、大陸枠でトップの6位中国に25ポイント以上の差を付けられていたが、残る3枠では最上位につけていた。

中国との直近3回の対戦で日本は1勝2敗。2022年にVNL予選ラウンドで勝利(3-1)した後は、同年の世界バレーと昨年のVNL(ともに予選R)では、完敗を喫して2連敗中だ。

これまで苦しめられてきたのは、東京五輪メンバーの190cm台アウトサイドヒッター(OH)李盈瑩(リ・エイエイ)や201cmのミドルブロッカー(MB)袁心玥(エン・シンゲツ)らを擁する中国の高さとパワーだ。さらに、この2週目から、リオ五輪の金メダル獲得やW杯連覇など2010年代後半の同国隆盛期をけん引したOH朱婷(シュテイ)がベンチ入り。東京五輪を最後に右手首の治療のためコートを離れた後、2022年に伊リーグでプレーを再開していた頼りのべテランが、3年ぶりに代表へ復帰した。

日本は、昨季の正セッター・関菜々巳から今季は岩崎こよみを司令塔に抜擢。アウトサイドヒッター(OH)は主将・古賀紗理那、林琴奈と石川真佑、ミドルブロッカー(MB)に山田二千華、荒木彩花、リベロは小島満菜美と福留慧美を起用してこの大一番に臨んだ。

いきなりMB山田の2連続エースで試合をスタートさせた日本は、以降もサーブで攻め込み一度もリードを手放すことなく第1セットを先取。第2セットはOHリ・エイエイのサーブと強打やミドル陣を絡めた相手の攻撃に押し切られて譲り渡した。だが、日本の高精度なサーブと固い守備、好調を維持した古賀、石川に替えて投入したOH井上愛里沙の活躍で再び流れを奪い返して中国を圧倒し、続く2セットを連取。3年ぶりに宿敵を撃破して五輪出場へ前進した。
古賀は全体最多の25得点、途中出場の井上が18得点、林も13得点とそれぞれがアタックのみで二桁得点を記録した。チームデータは日本がアタック決定本数68本(61)、エース5本(3)、ミス12(16)。さらに、サーブで相手守備に負荷を強いてスピードを生かした攻撃へ繋げ、中国の武器であるブロックを日本よりわずか1本多い6本に封じ込めた(カッコ内数字は中国)。
この勝利で日本は中国から8.96ポイントを奪い取り、世界ランク7位へ浮上してその差を7.78とした。また、予選順位でも、5勝2敗として6位から4位(暫定)へジャンプアップした。

第4セット開始からコートに立つと観客から大声援を送られたスター選手シュテイは試合後、「日本は強い。素晴らしい試合をしたと思う。身長が高くない選手がいても、一人ひとり全員の守備が非常に優秀。だから強い」とライバルを称賛。一方でレセプションに苦しんだ中国を、「守備が悪く、多くの失点を招いた。守備、サーブ、ブロックに攻撃、何もかもできていない。これでは勝てるわけがない」と完敗を認めながら、自身のチームに苦言を呈した。

同国の人気ポータルサイト『捜狐』は、「東洋の魔女を止めることは困難だった」と報じ、会場のマカオに近い香港の日刊紙『文匯報』は、「日本が攻守にわたり素晴らしいパフォーマンスを見せた。特に日本の主砲であるサリナ・コガは、適応力が光る攻撃で最多得点を挙げ、勝利に大きく貢献した」と大量得点でチームを先導した主将の躍動を讃えた。

世界ランク8位を維持する日本は、2週目最終の第4戦(日本時間6月1日17時開始)で、パリ五輪出場が決定している同10位ドミニカ共和国と対戦する。

構成●THE DIGEST編集部

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