県ゆかり夫婦、被災地案じ 百万石行列に仲村利家と夏菜お松

勇ましい利家公を堂々と演じる仲村さん=金沢市下堤町

 石川ゆかりの2人が演じる「利家とまつ」が、沿道を沸かせた。1日の百万石行列では、加賀藩祖前田利家公役を俳優の仲村トオルさん(父親が石川県出身)、お松の方役を俳優の夏菜さん(夫が金沢市出身)が務め、県都の一大イベントを盛り上げた。出発前から元日の地震を気に掛けていた2人は「被災地にも元気が届いていてほしい」と口をそろえ、石川の未来の安泰を願った。

  ●「かっこいい」「神々しい」

 出発前、重い甲冑(かっちゅう)の衣装に「責任の重さを感じる」と話した仲村さんは、堂々とした立ち居振る舞いで金沢駅前から金沢城公園まで行進した。沿道からは「トオルさーん」「かっこいい」とひっきりなしに声援が飛び、「トオル様」と書かれたうちわを持参するファンの姿も目立った。

 「これでもかというくらい、友達や親戚が集まってくれた。プレッシャーでビクビクしている」とちゃめっ気たっぷりに語った夏菜さん。手を伸ばして大きく手を振り、身を乗り出して歓声に応え、最後まで笑顔で大役を果たした。

 行列を終えた仲村さんはゴールが近づくにつれて金沢城の大きさを実感したとし「子どもの頃、父親に連れて来られたことを思い出した」と感慨深そうに振り返った。金沢から離れた能登の被災地を意識し、出発する際の号令では「皆の者」を2回、繰り返したといい「どこまで届いたかは分からないが、(被災地にも)届いていたらいいなと思う」と語った。

 「復興の百万石まつり」として臨んだという夏菜さんは「利家公とお松の方が、ここにいない被災地の人のことも見守ってくれているように感じた」と感動した様子で話した。仲村さんが金沢城公園に到着した際は「お松の方に感情移入して、涙が出そうになった。神々しかった」と振り返った。

 観衆からは、地元に縁のある2人が主役を務めたことを喜ぶ声が聞かれた。

 学生時代から仲村さんのファンという金沢市戸水1丁目の酒井紀子さん(51)は「目が合ってうれしかった。トオルさんが石川のために力を尽くしてくれてうれしい」と声を弾ませた。同市若松町3丁目の北川香緒里さん(50)は「一緒の空気の中にいられて幸せだった」と満足そうに話した。

明るい笑顔で手を振るお松の方役の夏菜さん=金沢駅前

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