「心臓に巨石を投げつけられた」肉薄する日本女子バレーの“試合巧者ぶり”に中国メディアが危機感!「7.25ポイント差」「いつでも逆転可能だ」【ネーションズリーグ】

アジアトップの座を巡る争いがヒートアップしている。

現地6月1日、中国・マカオで行なわれた女子バレーボール・ネーションズリーグの1次ラウンド第8戦で、世界ランキング7位の日本女子代表は同11位のドミニカ共和国と対戦した。いずれのセットも大接戦の末に3対1(25-20、23-25、26-24、25-23)で辛くもモノにして3連勝。通算成績を6勝2敗とした。

パリ五輪の出場権が懸かる今大会の1次ラウンド(各12試合)。女子バレーボールの五輪出場枠は「12」で、すでに7か国(開催国フランス、アメリカ、トルコ、ブラジル、セルビア、ポーランド、ドミニカ共和国)の出場が確定済みだ。日本は残る5枠(実質上は4枠)を巡る争いの渦中にあり、この1次ラウンドが終了する6月17日時点での世界ランキングが選定基準となる。

日本が出場権を得る条件はふたつ。①ランキングでアジア&オセアニア枠のトップで終えるか、②すでに出場権を獲得している7か国とまだ出場チームが確定していないアフリカ大陸のトップ(現時点でケニアが最上位)を除いた上位3チームに入る、のどちらかだ。

日本はドミニカ戦の前日、出場権を争うライバルの中国をセットカウント3対1で下した。これによって世界ランキング6位の中国に対して日本は7位に浮上して肉薄。総合ポイントも中国の332.85ポイントに対して325.07ポイントと、7.78差にまで縮めた。

土曜日のドミニカ戦勝利で、日本は暫定的に中国との差を「3.23ポイント」にまで追い上げたが、その後に中国がタイを相手に3対0のストレート勝ちを収めて4.02ポイントを加点。世界ランキングは変わらず、両国は「7.25ポイント差」で対峙している。

中国メディア『捜狐体育』は「日本がドミニカを撃破して一時は3.23ポイント差にまで迫られた。中国はタイ戦でフルセットまでもつれ込んでの勝利なら、0.01ポイントしか加算できなかったが、3対0で勝ってしっかりフルポイントを掴んだ」と報じ、「復帰したエース朱婷(シュウ・ティン)の先発起用が当たった。きわめて大きな勝利で、ここから波に乗りそうな勢いだ」と期待を込めた。

ドミニカ相手になんとか勝ち切った日本のパフォーマンスにも言及。「日本は窮地に追い込まれるたびに守備面での強みを発揮し、サーブに変化を加えるなど常にチーム全体がドミニカのリズムを崩そうと意識していた。個の能力に頼るドミニカとは異なり、素晴らしいチームワークを誇示した格好だ。選手交代も冴えていた」と持ち上げた。

さらに同メディアは「フランス、中国、ドミニカを破って3連勝の日本は一気に16.85ポイントをもぎ取った。凄まじい攻勢であり、中国にとっては心臓に巨石を投げつけられるようなもの。もはや差はあって無きに等しい。いつでも逆転可能な状況だ」と危機感を募らせる。そのうえで「中国に大きなプレッシャーがかかるなか、アジアトップの座を巡る争いはいよいよ最終局面に突入する」と説明した。

もしアジアトップでの予選突破が叶わなくとも、日本はかなり優位なポジションにある。日本時間6月2日午前4時時点での最新世界ランキングをチェックしてみよう。

今ラウンドでパリ五輪出場権4枠を争うのは、以下の5か国に絞られたと言っていい。イタリア(世界ランキング5位)、中国(同6位)、日本(同7位)、カナダ(同9位)、そしてオランダ(同10位)。日本はこのうち上位4チームに入ればOKで、この日カナダがセルビアに1対3で敗れたため、両国の差は「42.73ポイント」に拡大。まだ最終週で直接対決があり、予断は許さないが、日本が有利な立場にいるのは確かだ。

最終週となる第3週は6月11日から再開。日本は地元・福岡(北九州市)で残りの4試合を韓国(同38位)、カナダ、セルビア(同8位)、アメリカ(同4位)と戦う。
以下が暫定の最新世界ランキング・トップ12だ(★=パリ五輪出場決定国/カッコ内はネーションズリーグの消化試合数)。

【女子バレーボール・最新世界ランキング】
1位:トルコ★ 385.28ポイント(6)
2位:ブラジル★ 379.83ポイント(7)
3位:ポーランド★ 366.20ポイント(7)
4位:アメリカ★ 356.71ポイント(6)
5位:イタリア 349.21ポイント(7)
6位:中国 336.87ポイント(7)
7位:日本 329.62ポイント(8)
8位:セルビア★ 323.99ポイント(7)
9位:カナダ 286.89ポイント(7)
10位:オランダ 286.86ポイント(7)
11位:ドミニカ共和国★ 267.49ポイント(8)
12位:ドイツ 213.79ポイント(7)

構成●THE DIGEST編集部

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