「レッドブルよりも興味深いオファーあれば…」“去就”が騒がれる角田裕毅にCEOは契約延長を希望「今季は大きな進歩。最高のマシンを提供する」

日本人唯一のF1ドライバーの去就が騒がしい。

英公共放送局『BBC』ら複数の海外メディアによれば、F1のビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)に所属する角田裕毅が今季限りで、レッドブルグループからの退団が濃厚になったと報じられている。

F1第8戦、伝統のモナコ・グランプリ(GP)では、予選で8番グリッドを手にすると、決勝では粘りのレースを展開した角田。最後までポジションを守り、8位に躍進。同GPで自身初の入賞を飾る好パフォーマンスを披露するなど、評価が急上昇。チーム内でも、小さくない存在感を発揮している。

F1公式サイト『Formula1』によると、RBのピーター・バイエルCEOは角田の今季パフォーマンスについて、「大きな進歩を果たしている」と高く評価しており、同氏は今季限りでチームとの契約が切れる24歳の日本人レーサーが、引き続きRBとの契約を延長することを望んでいるようだ。

記事では、最近の角田のパフォーマンスがチーム内外で深く感銘を与えていると言及。「2021年にF1デビューを飾ったツノダはキャリア初期にミスを連発し、セッションが思い通りに進まないと、コックピットから怒りに満ちた罵詈雑言の無線メッセージを送る傾向があり、批判にさらされていた。しかし、今シーズンはここまで開催された8戦のグランプリで、彼は6回Q3に進出し、5回ポイントを獲得している」と、日本人ドライバーの確かな技術向上を指摘している。

バイエルCEOは「彼は間違いなく、大きな一歩を踏み出したと思う。肉体的な準備もそうだが、パフォーマンスと結果を出すための精神的な準備もできている。無線で悪態をつくたびに、コンマ1秒を失うことになる。だから、彼は自分をコントロールしているんだ」と、技術だけでなく精神面の成長が一番大きいと実感している。

続けて、「ユウキはエンジニアたちとのフィードバックに非常にプロフェッショナルな仕事をしている」と話し、技術チームと日々コミュニケーションを重ね、レースでのパフォーマンス改善を常に図っている姿勢を評価。節目となる5シーズン目も、角田をチームに残したいと考えていると明かした。
一方で、RBが2025年のドライバーラインアップを発表する気になる時期について同CEOは、角田とチームメイトのダニエル・リカルドのために、現在は「最高のマシンを提供すること」に焦点を当てていると明言。「我々は両ドライバーに非常に満足している。正直に言って、いつどうなるかという議論に時間を無駄にするつもりはない」とコメント。加えて、「我々は非常に強力なラインアップを揃えており、素晴らしいリザーブドライバー(リアム・ローソン)もいる。F2、F3から優秀な人材が輩出されており、現在はパフォーマンスに注力している」と語り、角田との契約延長を見据える前向きな発言をしている。

RBの最高経営責任者から熱烈な評価を受けている角田。他チームからの関心が報じられるなか、角田自身も最近はF1にチャレンジする機会を与えてくれたチームへの愛着や忠誠心を表明しているが、「RBやレッドブルよりも興味深いオファーがあれば、検討します」と気になるコメントを残しており、去就に関心が寄せられている。

はたして、4年間活躍したレッドブル・レーシングに別れを告げ、新天地に移るのか。それとも、愛着あるRBにとどまるのか。日本人ドライバーの決断に要注目だ。

構成●THE DIGEST編集部

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