角田裕毅の「印象的な走り」にOB、F1公式、各国メディアが賛辞! レッドブル昇格には「幹部に考えさせる材料を与えた」「できることは何もない」と見解は二分

F1第8戦のモナコ・グランプリでも、ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)は好パフォーマンスを持続して8位フィニッシュを飾り、同レースでは初、そして今季5度目の入賞を果たして通算ポイントを19に伸ばした。

F1デビュー以来の課題だった一貫性を完全に身につけ、どのセッションでもミスなくVCARB01のポテンシャルを十二分に引き出し、トップ5に割って入り、中団争いにおいてトップに立っている24歳の日本人ドライバーに対しては、多方面から賛辞が贈られている。

モナコでは、自己最高の8番グリッドを手にした際、以前は角田に対して非常に厳しい意見を述べていた元F1ドライバーのデイビッド・クルサードが、英国の公共チャンネル『Channel4』で「先週のイモラで非常に強い週末を過ごした後、彼は本当にその潜在能力を発揮しているように見える」と称賛し、以下のように続けた。
「彼のキャリアの初めの頃は、(レッドブル・グループがパワーユニット・サプライヤーである)ホンダを満足させるために誰でもいいから起用しているだけなのではないかと思っていた。しかし今では、ユウキはチームをリードしており、本当に重要な時に素晴らしいパフォーマンスを見せている」

同じく元F1ドライバーであるマーク・ウェバーも「ミスが激減し、今では全く犯すことがなくなった。彼は完璧だ」と絶賛。ここからも、今季の角田が、まさに文句のつけようがないほどの仕事を果たしていることが窺い知れるだろう。

F1公式サイト『F1.com』も、モナコGPのパワーランキングを発表し、角田に「8.4」の高採点を与え、実際の順位を大きく上回る3位にランクイン。「今季のほぼ全てのレースで印象的な走りを披露しており、モナコの曲がりくねったコースも例外ではなかった。再び予選でRBをQ3に導き、決勝でも貴重なポイントを獲得。他チームからの関心が報じられる中、レッドブルの首脳陣たちに昇格を考えさせる材料を提供した」と寸評を綴っている。 一方、英国公共放送『BBC』のF1特派員であるアンドリュー・ベンソン氏は、「角田はチームメイトのダニエル・リカルドを継続的に破るなど、今季は印象的な走りを見せている」と評しながらも、「それはレッドブルに角田に対する見方を変えさせるよりも、リカルドに対する疑問を増大させている」と指摘する。

そして、「外部からの印象としては、レッドブルのドライバー候補として考慮されるために、角田ができることは何もないということだ。単に首脳陣が、彼を十分に評価していない。角田がホンダの後押しを受けているにもかかわらず、レッドブル以外でのドライビングのチャンスを探しているのはそのためだ」と、レッドブル昇格については厳しい展望を示している。

また彼の“選択肢”にも言及し、アストンマーティンは現時点でシートが空く見込みがないとして、「ウィリアムズ、ハース、アルピーヌといったチームに注目しており、今夏のドライバーの移籍競争において、いずれかのシートを獲得する可能性は十分にあるようだ」と綴った。
スペインの放送局『la Sexta』は、アストンマーティンに注目し、イモラでアップデートが導入されて以降、チームが予選で競争力を失い、これまでの強みが消えてしまっていることを伝えるとともに、「角田がその傷口を広げている」と表現。彼の「最近のレース結果を見ると、我々は(アストンマーティンの)少し先を行っていると思います」とのコメントを紹介している。

角田はまた、「我々は上位5チームと下位4チームを分けている、独自の位置にいると言えるでしょう」「今後のレースでも多くの開発が行なわれる予定で、より車のペースを上げてくれることを期待します。もしかしたら、最終的にアストンマーティンを追い越せるかもしれません」と、コンストラクターズランキングで現在の6位からさらに順位を上げられる可能性を示唆した。

そして同メディアも、角田の去就に触れ、「最近、角田が2026年にホンダと提携する際にアストンマーティンに行きたがっているということが話題になった。彼はモナコGPの前にそれを発言したが、それは初めてのことではないし、おそらく最後でもないだろう。2年後、彼はフェルナンド・アロンソのチームメイトになるのだろうか」と記事を締めている。

構成●THE DIGEST編集部

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