「僕は透明人間になった」元トッテナム正GKロリスが苦難の日々を回想。カタールW杯で狂った歯車「あまりに早すぎた」

現在はロサンゼルスFCのゴールを守るユーゴ・ロリスが、トッテナム最終年の苦難を振り返った。英紙『The Standard』が伝えている。

37歳の元フランス代表GKは母国のニースとリヨンを経て、2012年夏にトッテナムに加入。以来、正守護神として活躍を続けていたなか、昨夏に退団の意向を明らかにした。

しかし、先発にこだわる希望に沿う受け皿が見つからず、故郷の古巣ニースのオファーも断り、残留。その間にクラブは、グリエルモ・ヴィカーリオを新戦力として迎え入れており、ロリスは戦力外の扱いを受け、完全に居場所をなくしてしまった。

結局、冬にアメリカに活躍の場を移すまで、練習を続けるだけの日々を過ごしたレジェンドは、母国メディア『Le Parisien』のインタビューを通じて、こう語った。

「トッテナムは1つのサイクルを終えようとしていて、若手、特に自分のポジションの選手を欲しがっていると知っていたよ。夏が近づき、僕はもう計画から外れていたんだ。リーグが再開された2023年8月、(アンジェ・ポステコグルー)監督から、僕はもうフィールドには出ず、練習生になると告げられた。脇に追いやられ、透明人間になってしまった」

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ロリスは2022年の11月から12月にかけてカタール・ワールドカップに出場。フランス代表の準優勝に大きく貢献した後、代表引退を表明した。

彼はこの当時も回想。ワールドカップで心身ともにかなり消耗した状態にもかかわらず、クラブへの復帰が早すぎたと感じているようだ。

「あまりにも早く、あまりにもハードだった。疲労困憊だったのに、充電期間は4日間しかなかった。また日常に戻り、モチベーションを取り戻すのに苦労したよ。ワールドカップはリーグ中断後すぐに開幕し、ワールドカップが終わってからのリーグ再開も早すぎた。

1月の時点で困難になると分かっていたし、歯を食いしばるしかないと思っていた。だけど、チームメイトも同様に心理的疲労を抱えていた。2月になれば状況は良くなるだろうと思い、仕事に逃げ込んだよ。ただ、感覚が戻った時、僕の身体は諦めてしまった。結局チームは結果を出せず、(アントニオ・コンテ)監督もプレッシャーで我慢の限界に達してしまい、グループの活力はマイナスだった」

異例の冬開催のワールドカップが、大きな混乱をもたらし、歯車を狂わせた。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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