「あの頃は楽しかった」施設の母が懐かしむ古里の老人クラブが休会に Uターンした73歳が一念発起、再生にこぎ着けたあの手この手 指宿市

老人クラブの活動で、うそ電話詐欺被害防止の講話に耳を傾ける会員ら=指宿市の北十町公民館

 新型コロナ禍や後継者不足で一時休会していた鹿児島県指宿市の老人クラブ「北十町鶴亀会」が、本年度から本格的に活動を再開した。鹿児島市から2年前にUターンしてきた田之畑正一さん(73)は、従来の会則を見直すなど復帰に向け尽力。新会長にも就任し「特色ある活動で会を盛り上げたい」と意気込んでいる。

 田之畑さんが鶴亀会を知ったのは、会員だった母がきっかけだ。鹿児島市内の施設に入居後も度々、「楽しい活動ばかりだった」と思い出を語ってきた。移住して間もなく、休会中であることを知り「このまま伝えたら、母が寂しい思いをする」と再開へ動き出した。

 地域の会員らと協力し取り組んだのは、会則の見直しだ。会長など一部の役職に負担が偏らないように、役員10人体制を提案。副会長や会計は2人ずつ置き、互いにカバーし合える仕組みにした。役割分担や最長任期なども明確化した。

 事業計画の策定では、会員にアンケートを実施。グラウンドゴルフなど関心の高い活動を多く盛り込むことで、要望に応えた。昨秋の臨時総会で再開が承認され、今年4月から新体制が本格始動した。

 5月28日には、うそ電話詐欺被害防止の講習会を独自に開催。今後もカラオケ大会や日帰りバス旅行、交通安全教室など多彩な活動を予定している。田之畑さんは「誰もが健康で、楽しく過ごせる場所にしていきたい。今は会員でない人も、ぜひ一歩を踏み出してほしい」と語る。

 市老人クラブ連合会によると、市内では5月1日時点で57のクラブが活動中。一方で、若手会員の減少や会長のなり手不足による休会クラブも約50に上る。近年では鶴亀会のほか、宮ケ浜第二長寿会、迫北老友会も休会から復帰している。

北十町鶴亀会の盛り上げに尽力する田之畑正一会長=指宿市の北十町公民館

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