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鹿児島県西之表市・馬毛島への米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う自衛隊基地整備を巡り、北海道大の立澤史郎特任助教(保全生態学)が2日、島固有のニホンジカ亜種マゲシカについて鹿児島市で講演した。着工後も推定個体数は減っていないとする防衛省の調査について、奈良公園並みに生息密度が高くなる可能性があるとして「多くのシカが冬を越えられないかもしれない」と話した。
防衛省は昨年4~12月に目視とセンサーカメラで調査し、マゲシカの生息数を千~1200頭程度とする推定結果を公表した。昨年1月に公告した環境影響評価書では、同じ手法で700~千頭と推定していた。
マゲシカを30年以上研究する立澤助教は「推定が正しければ大幅に繁殖している可能性がある。伐採した木々が栄養源になったとしか考えられない」と指摘。着工後1年半で工事区域の大部分は伐採されていることから、「新たな餌が供給されないと冬場に大量死してしまう」と懸念した。
防衛省の調査によると、馬毛島には1平方キロメートル当たり約150頭が生息する計算になる。講演後の取材に「工事が進み生息域が狭まるとシカが至る所にいる奈良公園のようになり、持続可能な生息環境ではない」として、調査手法や結果の詳細を明らかにし、専門家による現地調査を認めるよう訴えた。
同日、鹿児島市で「馬毛島基地反対裁判を支援する会」の設立総会があり、立澤助教はリモートで講演した。
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