【中国】イオンモールが杭州2号店、成長地区で先手[商業]

イオングループは1日、「イオンモール杭州銭塘店」をグランドオープンした。同店がある浙江省杭州市銭塘区は都市開発が急速に進んでおり、人口増加と所得水準向上が見込まれている。同区の今後の経済成長を見越し、先行投資を行った格好だ。

「イオンモール杭州銭塘店」のグランドオープン式典に参加する関係者ら=1日、杭州

中国のイオンモールとしては23店目。江蘇省・浙江省エリアでは7店目で、同エリアでのドミナント戦略(特定地域への集中出店)を進めた。杭州市では、「杭州良渚新城店」に続く2店目。

敷地面積は8万9,000平方メートル、延べ床面積は21万平方メートル(地上5階、地下1階)、総賃貸面積(テナントに貸し出せる面積)は7万平方メートル。駐車場は2,500台分で、立体駐車場があるため、上層階に人を誘導しやすくなっている。イオングループのモール事業を手がけるイオンモールによると、24年に杭州市で開業する商業施設の中では最大だという。

物販以外の要素も充実している総合性が強み。総賃貸面積の21%がエンターテインメントエリア、20%が飲食エリア。屋上には近くの杭州蕭山国際空港を離着陸する航空機を眺められる展望台があり、1階の屋外にはコンサートや展示会などを開催できるスペースがある。

幅広い種類の店・施設をそろえることで、来場者が一日中飽きずに滞在できる「時間消費型」の商業施設を目指す。

イオンモールの大野惠司社長はオープン式典で、銭塘店のコンセプトは「人々が集い、過ごす、交流の場」だとし、来場者がゆっくり快適に過ごせる施設づくりに力を入れたことを強調した。

■交通網が急発達、高速鉄道駅も建設中

銭塘区は杭州市郊外の行政区。イオンモール銭塘店の付近は低層の建物や田畑が目立ち、周辺の人口と所得水準は中心部の商業施設に劣る。

ただ同区の見通しは明るい。地元政府は同区を新興産業地区と位置付けており、近年はデジタル産業を中心に企業誘致を進めている。交通網も急速に発達しており、20~22年に4本の地下鉄が通った。現在は高速鉄道の駅の建設も進んでいる。

銭塘区政府は、同区の常住人口を25年に100万人にする計画を打ち出している、20年の77万人から5年で3割増やす考えだ。

イオンモールの中国法人、永旺夢楽城(中国)投資の橋本達也董事総経理は、今後も中国の成長性の高い地域で新規出店を進める考えを表明。江蘇省・浙江省エリア以外では、中部中核都市の一つ湖南省長沙市を目下のターゲットにしており、年内に同市1号店、25年度に同市2号店を設ける予定だ。

■イオン華東が7店目のスーパー

イオンモール銭塘店には、スーパーマーケット「イオン杭州銭塘店」が入った。運営会社は永旺華東(蘇州)商業(以下、イオン華東)。イオン華東が手がける7店目のスーパーとなった。

イートインコーナーの席数が約140席と多いことが特長。イオン華東の岸孝司董事総経理は、中国ではイートインコーナーが充実しているスーパーが少ないとみて、同コーナーの充実化を決めたと説明した。付近の住民が日常的に同店で食事を楽しむようになることを目指す。

スーパーマーケット「イオン杭州銭塘店」のグランドオープン日の様子。獅子舞などが披露され、多くの客でにぎわった=1日、杭州

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