「相手守備陣がめまいを起こすほど…」CL決勝で躍動&ダメ押し弾のヴィニシウスに多方面から最高評価と賛辞!「初のバロンドールを手にしたようだ」

現地時間6月1日に行なわれたチャンピオンズリーグ(CL)決勝で、レアル・マドリーがドルトムントを2-0で下し、2シーズンぶり通算15回目の優勝を飾っている。

ロンドン・ウェンブリーでの大一番、不利が予想されたドルトムントが先に攻勢に立ち、幾つか得点機も迎えたが、今季7試合目、CLでは初の出場となったGKティボー・クルトワの牙城を崩せず、後半に入って19分を迎えた時、マドリーはこの試合がクラブでの現役ラストマッチとなるトニ・クロースが蹴ったCKを、ニアのダニエル・カルバハルがフリックして欲しかった先制点を奪う。

さらにその9分後には、ドルトムントの左SBイアン・マートセンが自陣深くで不用意に出した横パスをジュード・ベリンガムがカット、これが左サイドのヴィニシウス・ジュニオールに繋がり、ブラジル代表FWは確実にゴールネットを揺らして、ダメを押してみせた。
21世紀に入って7度目の戴冠で、決勝進出からの勝利確率は100%、通算でも前述の15回目は史上最多で2位のミラン(7回)に倍以上の差をつけており、まさにこのコンペティションでは無類の強さを誇る「白い巨人」だが、ドルトムントの健闘で苦しい90分間を過ごし、監督として自身5度目(史上最多)の欧州制覇を果たしたカルロ・アンチェロッティも、「とても難しい試合であり、前半は相手の方が良かった。しかし、後半良かったのは我々だった。決勝戦とはこんなものだ」と振り返っている。

一方、奮闘むなしく敗れたドルトムントのエディン・テルジッチ監督は、「良い試合ができたことを誇りに思う。我々はただ試合をするためだけでなく、勝つためにここに来たことを示せた」と胸を張る一方で、「マドリーが15回もチャンピオンになった理由が分かった。彼らは非常に効率的であり、それが我々に欠けていた部分だ」と、対戦相手の勝負強さに脱帽した。

マドリーでのキャリアにおいてこれ以上ない有終の美を飾ったクロースは、表彰式でプレゼンターを務めた以前のボスであるジネディーヌ・ジダンから「最高の引退だ」と賛辞を贈られ、自身は「前半は上手くいかなかったが、このチームは諦めない。このような形で去ることができ、本当に嬉しい。これ以上のものはない。この10年間で経験したことは忘れられない。素晴らしい瞬間ばかりであり、今後、それが恋しくなるだろう」と、最後のコメントを残している。 貴重な先制点を挙げたカルバハルは、「もっと余裕を持って勝ちたかった。我慢の戦いを強いられた」と本心を明かした上で、「今季はCKに積極的に参加していた。最初のチャンスを逃したので、2回目は決めなければと思っていた」と得点に言及し、自身6度目(史上最多タイ)のCL優勝には「言葉では説明しきれない。難しい試合だったが、チャンスは来ると信じていた。神のおかげでここにいる」と感謝の意を示した。

そして、粘るドルトムントにトドメを刺す追加点を奪ったヴィニシウスは、自身のSNSでビッグイヤーを手にした画像を公開して喜びを表わしている。この背番号7に対して、英国の日刊紙『The Guardian』は「ドルトムントの守備陣がめまいを起こすほど、彼らを翻弄する巧みなプレーを次々と繰り出し、最後は見事なゴールで締め括った」と称賛し、10点満点の採点ではクロースと並んで「9」の最高点を与えている。

その絶大な貢献ぶりを評価された23歳に対しては、今年のバロンドールの有力候補に挙げるメディアも多く、専門サイト『Planet Football』は「バロンドール・パワーランキング」でリオネル・メッシ(インテル・マイアミ)、キリアン・エムバペ(パリ・サンジェルマン)、ベリンガムらを抑えてヴィニシウスが1位を維持していることを伝え、以下のように寸評を綴った。
「このブラジル人は、シーズンの重要な瞬間にピークに達する確かな能力を持っているようだ。バロンドールは重要な場面で大活躍することが全てであり、彼はCLのノックアウトステージでまさにその力を発揮した。そして、最高の締めくくりは、ウェンブリーでの華麗なパフォーマンス。控えめな表現では足りないほどだ。イングランド(ベリンガム)とブラジルがそれぞれ今夏のEURO2024とコパ・アメリカでどのような運命を辿るかが切り札となるかもしれないが、現時点でヴィニは初のバロンドールを手にしたようだ」

また、『GIVEMESPORT』も同パワーランキングでヴィニシウスを1位に選定。その理由を「今季は華々しいスタートとはならなかったが、最も重要な時にコンディションを維持して結果を出した。昨年はマドリーで55試合出場・23ゴール・21アシストを記録し、バロンドールランキングで6位。そして今季、ラ・リーガとCLを制覇した彼は、今や行列の先頭に立っている。スペイン・スーパーカップの決勝でバルセロナ相手にハットトリックを達成したことも、彼の評価を高める一因となった」と挙げている。

アンチェロッティ監督は「ヴィニシウスはバロンドールに値する。全く疑いはない」、またフロレンティーノ・ペレス会長も、「彼はバロンドールを受賞するべきだ」と、それぞれ主張している。CL制覇を立役者が年末、さらなる勲章を手にするのか。欧州を制した偉大なチームには、今後も多くの楽しみが存在する。

構成●THE DIGEST編集部

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