シクサーズは今オフどう動くべき?獲得候補に挙がる“第3スター”と再契約予定のベテラン3選手<DUNKSHOOT>

現地時間5月2日(日本時間3日、日付は以下同)、フィラデルフィア・セブンティシクサーズはニューヨーク・ニックスとのプレーオフ・ファーストラウンドを2勝4敗で落とし、2023-24シーズンを終えた。

アレン・アイバーソン、ディケンベ・ムトンボを中心とした布陣でイースタン・カンファレンスを勝ち上がり、NBAファイナルまで駆け上がった2000-01シーズンを最後に、シクサーズはファイナルどころかカンファレンス・ファイナルにも辿り着けずにいる。

そんな彼らにとって、今夏のFA(フリーエージェント)戦線はロスターを大幅に入れ替える大きなチャンスになる。というのも、ロスターで来季も契約下にいるのは大黒柱のジョエル・エンビード、控えビッグマンのポール・リード、ガードのリッキー・カウンシル四世のみ。制限付きFAのタイリース・マキシー、チームオプションのジェフ・ドウティンを含めても、年俸総額は約6103万ドル(約95億8171万円)で、現状では約6500万ドル(約102億500万円)もの大金を戦力補強に回せるからだ。

このチームが来季以降もプレーオフへ進出し、覇権争いに加わるために必須なのはマキシーとの再契約。23歳のスコアリングガードは今季、初めてオールスターに選ばれただけでなく、MIP(最優秀躍進選手賞)、スポーツマンシップ賞も受賞し、リーグ有数の選手へと成長した。それだけに、この男と高額契約を結んでキープすることが最優先事項となる。
また、地元メディア『The Philadelphia Inquirer』は、26日に公開された記事のなかで、エンビード、マキシーとチームを形成する“超強力なMAX級の選手”をトレードで狙うと報道。その候補にはロサンゼルス・クリッパーズのポール・ジョージ、ロサンゼルス・レイカーズのレブロン・ジェームズ(いずれも来季契約がプレーヤーオプション)、マイアミ・ヒートのジミー・バトラー、ニューオリンズ・ペリカンズのブランドン・イングラム(どちらも契約下)が挙がっている。

シクサーズのバスケットボール運営部代表のダリル・モーリーは、6月26、27日に開催されるNBAドラフト2024で保持する1巡目16位、2巡目41位指名権も駆使し、ロスター強化を狙っているというのが現状だ。

とはいえ、スター選手を3人揃えたからといって、チャンピオンシップ獲得が約束される保証はどこにもない。覇権争いへ参戦するためには、スター選手たちを補佐するロールプレーヤーたちも充実した“強固なチーム”を作り上げる必要がある。
そこで同メディアは6月2日、シクサーズが今夏完全FAになるニコラ・バトゥーム、ケリー・ウーブレイJr.、カイル・ラウリーと再契約を結ぶ意向だと報道。6日から幕を開けるダラス・マーベリックスとボストン・セルティックスによるファイナルが終了した翌日から、自チームのFA選手との交渉が解禁となるため、この3選手へアプローチしていくことが予想されている。

バトゥームは35歳のベテランフォワード。今季序盤のトレードでシクサーズ入りすると、ヒートとのプレーイン・ゲームでシーズンハイの20得点に5リバウンド、1ブロックを残したほか、ニックスとのシリーズでもシックスマンとなって平均28.3分、6.3点、5.8リバウンド、1.3アシストに3ポイント成功率40.9%をマークした。

フランス代表としてパリオリンピックへ出場し、その後現役を引退する見込みと昨夏報じられていただけに、その決断が注目されているのだが、今季のプレーぶりを見てもまだNBAチームでローテーション入りすることは十分に可能だろう。
ウーブレイJr.は2度の自動車事故もあって68試合の出場に終わったとはいえ、主力の一角になって戦術にフィット。プレーオフではチーム3位のシリーズ平均13.2点に4.0リバウンド、1.7アシスト、1.8スティール、1.2ブロックとマルチな働きを見せた。

フィラデルフィア出身のラウリーは、シーズン終盤に38歳を迎えた大ベテラン。今年2月13日のシクサーズ加入後、4試合目から先発へ定着し、ポストシーズンでもスターターを務めて攻守両面で奮闘していた。

エンビードとマキシーのオールスターデュオを主軸とするシクサーズ。両選手の実力をさらに引き上げる第3のスター獲得とともに、自チームのFA3選手を引き留めることができるかも注目していきたい。

文●秋山裕之(フリーライター)

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