【インド】JAL、インディゴと提携[運輸] 共同運航で合意、成長市場手中に

日本航空(JAL)は3日、インドの国内旅客シェア首位の地場格安航空会社(LCC)インディゴとコードシェア(共同運航)の開始で合意したと発表した。2024年冬ダイヤから共同運航を開始する。インディゴは国内80都市以上に路線を持つ。JALは、同社の日印間の直行便にインディゴの国内線を接続することで、インド全域をカバーするネットワークを構築できるようになる。

コードシェア(共同運航)の開始で合意した日本航空(JAL)とインディゴの幹部=2日、ドバイ(JAL提供)

JALは3日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催中の世界航空輸送サミット(国際航空運送協会=IATA=主催、2~4日)で、インディゴを運航するインターグローブ・アビエーションと共同運航を開始することで合意したと発表した。2024年の冬ダイヤ(24年10月下旬~翌3月下旬まで)から開始する。対象路線はJALの羽田—デリー線、成田—ベンガルール(バンガロール)線と、これら2都市(デリー、ベンガルール)で乗り継ぎが可能なインディゴのインド国内線となる予定だ。

■2桁成長の有望市場

インディゴはインドの国内旅客シェアで約6割を持つ最大手。デリー、ベンガルールをはじめ、西部ムンバイ、南部のチェンナイ、ハイデラバード、東部コルカタなど主要都市を含め国内88都市(3月時点)に路線を持ち、4月の運航便数(出発便数)は5万3,000便を超える。

日本航空インド支店長の竹井亮人氏は3日、NNAに対し、「インディゴはインド国内線で最大のシェアと多彩な路線網を持っており、コードシェアの開始で印日双方のお客さまへシームレスな移動をご提供できるようになる」と話し、主要都市のみならず地方都市までをカバーするネットワークをインディゴの強みに挙げた。

また、「デリーまたはベンガルールを経由して、日系企業の多い地方都市やヒンズー教の聖地、バラナシなどへの乗り継ぎで利便性が高まる」(竹井氏)ため、インドへのビジネス需要のみならず観光需要の拡大も見込む。

インドの航空市場は新型コロナ禍を経て、堅調な国内経済に伴う個人所得の向上を受け、成長の一途にある。インド民間航空管理局(DGCA)によると、昨年の国内旅客数は1億5,203万人で、前年比で23%増加した。

インド政府が16年に導入した地方都市間の航路活性化策「UDAN」も追い風になっている。UDANの下で就航した路線は17~24年は計567路線に上る。

JALにとっては、インディゴとの共同運航は顧客の利便性が高まり、成長著しいインドの航空市場で販売強化の大きな足がかりとなる。

■競争厳しい「淘汰・再編」市場

インディゴは昨年6月、欧州航空機大手エアバスに単通路型の旅客機「A320」シリーズを500機発注した。30~35年に順次納入される予定だが、現在の保有機材(約360機)と納入待ちを合わせると、向こう10年で1,000機体制を築くことになる。

また、直近では先月、年内にビジネスクラスを導入すると発表した。出張者の利用が多い路線で導入する計画だ。

インディゴが事業強化を押し進める背景には、国内航空各社の淘汰・再編の波もあるとみられる。

インドの航空各社で機内食など従来型のサービスを提供するフルサービスキャリア(FSC)は現在、地場財閥タタ・グループ傘下のエア・インディアとビスタラの2社のみとなっている。ただ、ビスタラはエア・インディアに吸収合併されることが決まっており、手続きは年内にも完了する見通しだ。早くて来年には、インドのFSCはエア・インディアのみとなる。エア・インディアはまた、4月に全日本空輸(ANA)との提携を発表。5月下旬に共同運航を始めている。

インディゴはサービスの質を高めるとともに、JALとの共同運航でFSCを優先する利用者の取り込みや国際線の拡充に弾みが付くとの見方がある。

他方、LCCのスパイスジェットが経営難に陥っており、同じくLCC「ゴー・ファースト」を運営するゴー・エアラインズ・インディアは昨年5月に再建手続きを申請し運航を停止。今年5月に全てのリース機が登録抹消したものの、破産倒産法に基づく係争は続いている。

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