「山王さん、あってよかった」 日枝神社春季例大祭2日目 羽咋、金沢からも露店出店

被災しながら営業に励む津田さん=富山市西町

  ●500軒にぎわう

  ●能登の祭り中止で収入減

 「山王さん」の愛称で親しまれる日枝神社(富山市山王町)の春季例大祭「山王まつり」は2日目の1日、神社周辺に約500軒の露店が並び、家族連れや若者らでにぎわった。能登半島地震で祭りの中止が相次ぐ中、収入の減少に直面する露天商は活気づく街中で接客に励んだ。羽咋市や金沢市の露天商も出店し、「山王さんがあってよかった」と安堵の声がもれた。

 「山王まつりは無事、当日を迎えられてよかった。みんなで協力して頑張りたい」。焼きそばなどを販売する金井商事(羽咋市)の従業員津田浩さん(51)=宝達志水町=は喜びをにじませた。毎年、七尾市の青柏祭(せいはくさい)や港まつり、輪島市の市民まつりに出店していたが今年は軒並み中止になり、4、5月の売り上げは例年より3~4割減少した。

 津田さんは自宅が地震の被害を受け、屋根瓦が崩落した。地震から5カ月たった今も屋根はブルーシートで覆われている。津田さんは「また皆さんが観光に訪れてくれる能登にしたい」と力を込めた。

 唐揚げ店を出した金沢市の自営業女性(52)は毎年、数百万円に上る青柏祭での売り上げが吹き飛んだ。女性は「山王さんで仕事ができて安心している。能登には露天商の知り合いがたくさんいるので、早く復興し、また元気な顔がみたい」と話した。

 能登の祭りの中止は富山県内の露天商にも影響を与えている。山王まつりに毎年出店している倉田商店(富山市)の倉田達也社長(66)によると、1年間で一番の稼ぎ時は青柏祭という。

 富山の露天商でつくる県移動商業組合は1月下旬、七尾市内の小学校で炊き出しを行った。倉田商店も参加してベビーカステラを振る舞い、避難者や子どもたちの人気を集めた。倉田社長は「また七尾の皆さんの喜ぶ顔を見に支援に行きたい」と話した。

  ●神輿渡御や獅子舞

 山王まつりは1日、神輿渡御(みこしとぎょ)や獅子舞巡行、氏子みこしなどが営まれた。日枝神社氏子町内である総曲輪、中央通り、西町などの子どもたちが太鼓を引いて練り歩き、「わっしょい」と元気な声を響かせた。まつり最終日の2日は春季例祭などが営まれる。

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