大行燈、復興に願い 7日から小矢部・津沢夜高祭 7町が制作追い込み

「つりもの」などの制作を進める会員=小矢部市津沢

 7、8日に小矢部市で行われる市指定無形民俗文化財「津沢夜高あんどん祭(まつり)」に向け、大行燈を継承する7町で、あんどん制作が最終盤を迎えている。8日には、2基が激しく衝突する「ぶつかり合い」が間近で見られる特別観覧席が初めて設けられる。各町は能登半島地震で被災した地元の復興を祭の力で後押ししたいと意気込みを新たにしている。

 各町の大行燈は総重量5~6トン、高さ6~6.5メートル。山車(だし)部分と、山車を支える「座布団」、四角い箱形の「田楽(でんがく)」、竹の骨組みに和紙を張った飾り「つりもの」を組み合わせ、台棒(だいぼう)と丸太を組んだ台の上に取り付けている。

  ●上町は軍配に巻物、桜デザイン

 7町の中で最も世帯数が多く、大小の行燈を持つ上町(かんまち)夜高行燈保存会は3月31日、小矢部市津沢の上町行燈小屋で作業を開始した。幅約2.7メートル、高さ約1.9メートル、奥行き約1メートルの「つりもの」は軍配と巻物に、上町で伝統的に使われる桜を組み合わせたデザインとした。派手に美しく着飾ることを指す四字熟語「綾羅錦繡(りょうらきんしゅう)」を入れ、文字に合わせた女性も描いた。山車と座布団も完成した。本番直前まで作業を続ける。

 上町は津沢夜高行燈コンクールでは2年連続の金賞・市長賞を目指す。大行燈裁許の水野哲平さん(44)は「行燈には津沢の人の思いが詰まっている。ぶつかり合いの音や迫力を多くの人に見てほしい」と話した。上町夜高行燈保存会の石間庄二会長(67)は「凝った出来栄えで、きめ細やかな行燈に仕上がった。能登半島地震で被災した小矢部全体の復興を津沢地区として後押ししたい」と語った。

 7、8日夜のぶつかり合いは祭の最大の呼び物となっている。今年は津沢地区の15自治会から大中小の行燈計21基が登場し、津沢地区を彩る。

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