島の思い出の旧校舎・体育館で結婚披露宴 島根・隠岐の島出身の新郎新婦、子授けの儀式「孫抱き」、宴会芸「にわか」 独特の余興で祝福

広々とした体育館でケーキカットする吉見絵莉夏さん(左)と安部哲太さん=島根県隠岐の島町那久

 島根県隠岐の島町那久の旧那久小学校で1日、地元出身者の結婚披露宴が開かれた。新郎新婦の思い出の場所といい、招待された70人が若い2人の門出を祝福した。近ごろ目にする機会が減った子授けの儀式「孫抱き」や、宴会芸「にわか」といった隠岐独特の余興が体育館で繰り広げられた。

 2人は同町出身で兵庫県加古川市の船員安部哲太さん(25)と、看護師吉見絵莉夏さん(25)。4月に沖縄で結婚式を挙げたが、双方の祖父母や友人にも報告したいと考え、隠岐での披露宴を計画。ブライダルプロデュース会社「今ココから」(出雲市大津町)の提案で、旧那久小校舎を会場として選び、所有する町も許可した。

 那久小は安部さんの母校で、近隣の中村小学校に通っていた吉見さんと、小学2年時に交流事業で出会った思い出の場所だった。

 披露宴では、全員が校庭で記念撮影し、体育館でケーキカットをした。宴もたけなわになると、新郎新婦の友人たちによる凝った踊りや宴会芸の「にわか」が始まった。続いて子孫繁栄を願い、赤ちゃんの人形を新郎新婦の両親が抱いて会場を巡る「孫抱き」が踊られ、見物にきた近所の20人も一緒になって歓声を上げた。

 安部さんは「恥ずかしい気持ちもあったが、祖父母、親戚や地域の人が来ていただいて本当に良かった」とうれし泣きした。

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