峰不二子声優・増山江威子さん死去 老いを感じさせない「艶声」のヒミツ

天国に旅立った

アニメ「ルパン三世」の峰不二子役や、「キューティーハニー」の如月ハニー役などで知られる声優の増山江威子(ますやま・えいこ)さんが5月20日、肺炎のため死去していたことが分かった。89歳だった。

増山さんは劇団四季などを経て1960年代から声優として活動。当時は声優という職種が世間にほとんど認知されておらず、舞台俳優の〝副業〟扱いでしかなかった。

だが、増山さんは70年代に放送された「天才バカボン」(ママ役)をはじめ「キューティーハニー」、「一休さん」(伊予の局/ナレーション)、「ルパン三世」などの出演作を軒並みヒットに導き、80年代から今日に至るまで声優の地位向上に貢献。その功績が認められ、21年には「第十五回声優アワード」の功労賞を受賞した。

増山さんといえば、「峰不二子」役などに代表される色っぽくて艶やかな声質が魅力だが、往年でもその声をキープしていたという。ある音響関係者の話。

「とても品の良い声でしたね。声優や歌手は、年齢を重ねるにつれて声が老化していくもの。それを維持するのは難しいのですが、プロの矜持をもってトレーニングに励んだ増山さんは、70代になっても当時と変わらぬ声を保っていました」

また、ある声優関係者も「あれだけの経歴がある人なのに、いつも慎重でプロフェッショナル。皆のイメージする声作りに余念がなく、『まだ若い声も出るかしら』と笑いながら、当時そのままの声を発していたのが印象に残っています」と振り返った。

ルパン三世の役を初代・故山田康雄さんから受け継ぎ、95年から演じている栗田貫一も3日に追悼コメントを発表。

「まさに紅一点、私にとっていつもエレガントで憧れの不二子ちゃんでした。右も左もわからぬ私に『やすべえなら、、』と座長としての山田さんの立ち振る舞いを優しくお話して下さり、ルパンファミリーに迎え入れていただきました」と故人をしのんだ。

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