サムスン「Galaxy Ring」8月頃に米国で発売。スマートリング大手Ouraを訴えたことで判明

Image:Samsung

サムスン初のスマートリング「Galaxy Ring」が、今年8月に発売されることが明らかとなった。製品のニュースリリースが出されたのではなく、同社が競合するOuraに対して起こした訴訟から分かったことだ。

同社は米カリフォルニアの連邦地裁にて、Galaxy RingがOuraの持つ5つの特許を侵害していないとする「宣言的判決」を求める訴訟を提起。その訴状では、Ouraが「事実上すべてのスマートリングに共通する機能」につき競合他社に特許訴訟を起こすパターンがあると主張し、特にセンサーや電子機器、バッテリーやセンサーから集めた数値に基づくスコアに言及している。

ちなみにOura Ringと連携するスマホアプリは「アクティビティスコア」「コンディションスコア」「睡眠スコア」、3つの“スコア”を健康の指標としている

実際、Ouraは競合するUltrahuman、RingConn社、Circularを訴えた前例があり、時には同社が米国市場に参入する前のこともあった。

またサムスンがGalaxy Ringを発表した直後、Ouraは複数のメディアに自社には「付与された特許が100件、出願中の特許が270件、登録商標が130件以上」があり、ハードウェアとソフトウェアで「最強のIPポートフォリオ」を保有しているとの声明を出していた

さらに訴状では、Ouraのトム・ヘイルCEOがCNBCのインタビューに、サムスンのGalaxy Ringを注視し「適切な行動をとる」と述べたことも挙げている。

そうした事実を列挙した上で、サムスンは自社がOuraから訴訟の標的になると予期していると主張。さしずめ「攻撃は最大の防御」といったところだろう。

ほか訴状では、Galaxy Ringについての未公開情報にも触れている。すなわちハードウェアのデザインは5月中旬に最終決定され、それから量産が始まること。そして「今年の8月頃」に米国市場に投入する見通しも記されている。

また、睡眠や活動量、心拍数、心拍変動などの指標に基づき「エネルギースコア(Energy Score)」を算出するSamsung Healthアプリのスクリーンショットも添付されている。

健康関連ウェアラブル機器では、この種の特許争いが起こることは珍しくない。

たとえば医療機器メーカーのMasimoは昨年末、Apple Watchが自社の血中酸素センサーの特許を侵害したとして米ITC(国際貿易委員会)に訴え、輸入禁止を勝ち取っていた。アップルはそれを避けるべく機能削除の「アップデート」を行っていたが、決して少なくないコストが掛かったことだろう。

これまでOuraはスマートリング市場のリーダーであり、向かうところ敵はなかった。サムスンはこの市場に参入する初のハイテク大手であり、技術面でも法的にもOuraにとって手強い相手となるだろう。さらにサムスンが勝ちを収めれば、中小のスマートリング企業も勢いづく可能性がある。

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