松井稼頭央監督「電撃解任」の裏に「西武ライオンズ」売却構想…休養中の本人が本誌直撃に語った!

黒のナイキを身に纏い、青のサングラスを着用する松井稼頭央監督 (写真・伊藤 修)

「交流戦で巻き返したい……」

自らを鼓舞するように呟いた指揮官は、まさか2日後に “クビ” になるとは露ほども思わなかっただろう。

2024年5月26日、西武ライオンズは松井稼頭央監督の休養を発表した。

「松井監督は、1994年にドラフト3位で西武に入団し、走攻守揃った看板選手としてメジャーでも活躍。引退後、渡辺久信GMの下で、二軍監督、一軍ヘッドコーチを務め、昨年、満を持して監督に就任しました。

しかし、1年めは5位、今季は最下位と低迷。森友哉や山川穂高などの中心選手の移籍や外国人の補強の失敗など、フロントの責任も大きい。その責任者である渡辺GMが、監督代行に就くのもおかしな話です」(スポーツ紙記者)

シーズン序盤での異例の発表に、ある投資ファンド関係者は「親会社の西武ホールディングス(HD)の上層部が休養を決めて球団に通告した」と話す。

じつは、西武HDは5月9日に長期戦略を発表している。そのなかで、不動産の売却と再投資の循環を生み出す “キャピタルリサイクル” を進める方針を打ち出しているのだ。今回の “電撃解任” の裏で、「ある構想が練られている」と、前出の投資ファンド関係者は続ける。

「西武HDは資産売却を進めており、そのなかで球団の売却も検討しているんです。メインバンクのみずほ銀行が売却先探しに協力しているそうです。

理想は、人気のある松井監督のもとで優勝して高値で売ることでしたが、チームが低迷しているため売りにくい状況になってしまった。しかも、買収者が松井監督をクビにすればファンから反感を買う可能性がある。なので、売却を進めるため先手を打ったということなんです」

ある球界関係者も、球団売却の話はここ数年囁かれていると言う。

「西武だけではなく、あるパ・リーグ球団の身売り話も絶えないですね。西武は交渉の段階で、ベルーナドームを本拠地にすることを条件に出すでしょう。身売りとなれば、首脳陣の顔ぶれは大幅に変わるでしょうが、新監督候補に松坂大輔の名前が真っ先に挙がるでしょうね」

西武ライオンズは1979年に本拠地を埼玉県所沢市に移して以降、リーグ優勝18回、日本一10回という輝かしい歴史を持つ。経済評論家の佐藤治彦氏は、そんな名門球団の売却に懐疑的な見方を持つ。

「西武ライオンズは西武HDの象徴ですし、売却先の選定はなかなか難しいでしょう。また、かつて松坂投手のメジャー移籍でもたらされた巨額資金が球場改修費などに使われたように、育成は大きなビジネスになる。300億円くらい出す企業が出てこない限り売却はないと思いますし、そうあってほしいですね」

松井監督の休養と球団売却は関係するのか。5月末に、休養中の本人を直撃した。

──休養発表はご自身で決めたことですか?

「球団が決めたことです」

──まだ、監督として選手たちと戦いたかった?

「こればっかりはね、結果の世界なので……」

──休養期間中はどう過ごされる予定ですか?

「そうですね……もちろん試合は観ますよ」

──球団売却の噂が囁かれていますが?

「全然知らないです」

記者の問いかけにうつむき加減で答えた松井監督は、憔悴した表情が印象的だった。

球団広報に、西武HDが球団売却を検討しているのか、その一環で松井監督の休養を決めたのかと問い合わせたところ、西武HDから「球団売却を検討している事実はいっさいございません。そのため、みずほ銀行が売却先探しに協力している事実もございません。また、松井監督の休養に関して、西武HDは関与しておりません」という回答が寄せられた。

“常勝レオ軍団” が迷走している。

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